風のまちの新シンボル 山里 吾郎

 飯岡海岸の3・11津波取材を終えたあと「ここまで来たのだから…」と銚子方面へ足を延ばした。途中、屏風ヶ浦の高台から台地を望むと、海に向かって立ち並ぶ金属製の巨大な羽が目に飛び込んできた▼『風車か。いかにも風のまちらしい…』。1985年から92年まで、6年7カ月にわたって銚子支局を担当したが、当時はなかったような気がする。その後も何度か尋ねてはいるが、確か1、2基が試験的に設置されていただけ。こんな印象的に写ったのは初めてだった▼銚子のイメージと言えば日本一の水揚げ量を誇る漁港、犬吠埼灯台に代表される観光、さらに気候と利根海運が育んだ醤油醸造。それに灯台キャベツに代表される緑の台地。『風車は新しいシンボルかな』▼一時、人口9万人以上を数えた東総第一の市もここ数年は衰退が目立つ。現状は確か6万人台。もともと国のとっぱずれ“と句に読まれるほど利便性が悪く、地場産業の停滞とともに若者が流出。加えて古い都市にありがちな地価の高さから利根川を挟んだ茨城県側に移住する人たちが多く、いつの間にか人口が減少していった▼銚子市はかつて外川近くの名洗港を重要港湾化し、世界最大規模の火力発電所を誘致しようとした。豊かな自然、漁場を守ろうとする反対運動が推進派を圧倒、計画は頓挫したが是非論“はその後も暫く銚子市政を揺るがした▼それから約40年、今は自然条件を生かした風力発電のプロジェクトが進行。34基に及ぶ陸上風電に加え火力誘致で揺れた名洗港沖では大規模な洋上風電も始まっており、風土を生かした新シンボル誕生の気配を感じさせた。

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