進化を続ける月出工舎

今年の作品は?

 『いちはらアート×ミックス2017』は今年だけで飾られたものではない。改めてそう感じさせてくれたのが月出工舎だろう。前回のアート×ミックスでディレクターとして創ること・生きることの拠点『月出工舎』を設立した岩間賢さんは、「今回は8組の作家さんに加え、ギャラリーカフェとしてニワコヤが出店し9組で取り組みます。昨今の芸術祭は作ったら完成、開催が終了したら撤去。月出工舎はそうしないのが魅力です」と話す。
 工舎のエントランスにそびえる『あわい』は塩月洋生さんの土壁作品である。校庭にある『かまど』はチョウハシトオルさんの作品。一番に目に留まるこれらの作品は2014年からずっとそこに存在している。「ここは、アートと機能が一緒になっているんです。写真を見比べると分かりますが少しずつ進化しています」と岩間さん。染織作家である岡博美さんは、かつてここにいた子どもたちの気配を藍で染めた作品に込めた。鈴村敦夫さんはモザイク技法を用いて正門を彩り、岡田杏里さんのカラフルな絵画や造形物は工舎内を飾る。
 舞踏団トンデ空静の一行は養老川河口から水源の大多喜町まで10日間かけて実際に行脚し、道中見聞きしたことを野外公演で披露した。「私はここの卒業生です。少しずつ地元がアート×ミックスと交われるようになり嬉しいです」と話すのは月出町会の中村好孝さん。月出町会の人々が育てた花はカフェの入り口をカラフルに飾っていた。
 また、4月15日と22日の2日間かけて行われたのは鈴村敦夫さんによるワークショップ『モザイクアートに挑戦』。15日には『大理石と色ガラスを使って、ネームプレートを作ろう』に11名が参加した。作品は名前に限らず、好きな模様や絵を形作るのでもOK。両掌に乗る大きさの写真立てに、まずは強力な接着剤をまんべんなく塗る。そして下絵した絵を見ながら、石をのせていく。色とりどりの石やガラスは各自金槌を使用すれば細かく砕くことも可能。ただ、一回貼ってしまうと取り外しができないこと、写真立ての縦と横を確認しておくことに注意が必要。
 「石を砕くのに力はいりません。周りから埋めて行くのでも、モチーフからでも順番はありません。接着剤がはみ出してしまったら、ウェットティッシュで拭けば大丈夫ですよ」と鈴村さんが呼びかける。石を選びながら、参加者たちは口々に「光に反射すると輝いているみたい。岩塩のようにも感じます」と感嘆の声。松戸市から訪れた女性は、羊のモチーフに挑戦。仲間3人と砕いた石を時に分けあいながら、「石がとても綺麗ですね。ここに目を置くと可愛いかな」と終始楽しそうに想像を膨らませていた。

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