人間のわがままに翻弄される外来生物!!
ミシシッピアカミミガメ

 近所の川や池で甲羅干しをしている大型のカメを目にすることが最近多くありませんか? 頭部の両側に橙赤色の斑紋がある「ミシシッピアカミミガメ(以下アカミミガメ)」です。本来の生息地域は、アメリカ合衆国南部からメキシコ北東部の国境地帯。日本には生息していない外来生物が、どうして増えたのでしょうか?
 じつは縁日やペットショップにいる「ミドリガメ」は、アカミミガメの幼体。緑色の甲羅で数センチ、動きが可愛らしく人気があります。しかし、大きくなると手に負えなくなるのか飼養を放棄、野外に遺棄する人が多いと聞きます。毎年数十万個体近くが輸入され、ペットとして安価に販売。その多くで遺棄が頻繁に行われ、増えてしまったと推測されています。
 野外のアカミミガメは当然生きるために採食します。雑食性で、藻類や水草、水生昆虫、甲殻類、魚類、在来のカメ類の卵等様々なものを採食、日本固有の生態系を乱していると言われます。環境省は、「生態系被害防止外来種リスト」において「緊急対策外来種」に位置づけ、防除、遺棄・導入等の対策の緊急性が高いとし、「アカミミガメ対策推進プロジェクト」を立ち上げ、「海外からの導入停止」「捨てガメ=ゼロと終生飼養」「防除の推進」等啓蒙に取り組んでいます。
 外来生物は悪者にされてしまいがちですが、そもそも彼らに非はなく、本来の環境とは異なる場所で一生懸命生きているだけです。アカミミガメを捕獲し輸入するのも、売買するのも、遺棄するのも人間です。アカミミガメは翻弄されているだけで、すべては人間のわがままのせいともいえます。
 今、「ミドリガメ」を飼養されている皆さん。野外に遺棄しないで最後まで飼育しましょう。それが、日本の自然を守ることにもつながります。

(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…
  2.  昭和を代表するスター「石原裕次郎」は今年、生誕90年。映画やドラマで大活躍し、歌手としてもヒット曲多数。誰からも愛された「裕ちゃん」の魅…
  3.  鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年6月5日(木)~6月10日(火)に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける…
  4.  今年は小湊鐵道開業100周年。これを記念し、アートによる地域づくりの拠点である市原湖畔美術館は、小湊鐵道とコラボプロジェクトを進行中。小…
  5.  成田山公園で毎年行われる冬のイベント「成田の梅まつり」。会場は成田山新勝寺大本堂の奥、16万5000平方メートルもの広大な公園。四季折々…
  6. 【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん(前列右端)      36年間の市議会議員のあと、パキス…
  7.     ◆一席 記念日を遅れて祝い根にもたれ  一宮町 黒猫胡桃     ・老プランあまく見積り火の車  茂原市 道譯賢…
  8. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
  9. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る