県循環器病センター存続の危機 届け! 県民の声

 昨年9月、県議会で松下浩明議員(山武市)が自民党の代表質問として、千葉市美浜区に2022年完成へ向けて基本計画が進められている老朽化に伴う県救急医療センターと県精神科医療センターの統合再整備、(仮称)総合救急災害医療センターの建設に、県循環器病センター(市原市鶴舞)との連携を踏まえ、同センターのあり方について早急に検討を始めるべきではと質問した。
 これに対し、滝川伸輔副知事は県循環器病センターについて、将来的な専門医療と地域医療のそれぞれのあり方について様々な角度から検討すると答弁した。この不意に沸き起こったような「あり方について検討する」という言葉は「総合救急災害医療センターに県循環器病センターが統合される。市原市から移転してしまうのではないか」と、市民はもちろん、同センターの患者の6割を占める長生・いすみエリアの人々に危機感を与えることになった。
 更に、昨年12月に行われた県議会において山本友子議員(市原市・市民ネットワーク)が同センターの「あり方検討」について、「県民への説明や地域住民のニーズの把握せずに唐突な発表をしたことについて、どんな申し開きをするつもりか」、「同センターは地域医療の核という重要な核を担っているが、これをどう評価してるのか」、9月の議会以降、中断されている総合救急災害医療センター建設についても「いつまで中止させるのか」などと質問。
 県病院局の矢島鉄也局長は「近年、入院患者数が減少していること、近隣に救命救急センターが指定されたことなどから、全県的な視点と地域の状況を考慮しつつ今後のあり方について、様々な角度から検討していきたい」と答えるにとどまった。この回答に関して市原市において7期28年にわたって市議会議員と3度の市議会議長を務めた星野伊久雄さんは「県で唯一、高度医療と地域医療がひとつになった循環器病センターを移転してしまうというのか。昨年6月に策定された千葉県立病院新改革プランでは、人口密度が低い場所にある『立地上の課題もあり』という指摘にしても、循環器系の病院は千葉にも千葉市以北にもたくさんあるが、千葉市以南では循環器病センターだけ。こうした事実があるのに関わらず、立地を問題視するのはおかしい。県北部への移転は県南の県民にとって命に関わる問題だ」と憤りを隠せない様子で語る。

 昨年10月には、県循環器病センターの脳神経外科および神経内科の医師が数名、他院へ異動。それまで行ってきた脳神経系救急体制の24時間、365日の救急患者の受け入れが、時間外については週3日となってしまった。そして今回の「あり方検討」と総合救急災害医療センター工事の中断。
 このような事態になったことを受け、市原市はすぐアクションを起こした。今年1月、2市3町行政連絡協議会(市原市・茂原市・大多喜町・長柄町・長南町)と長生・夷隅地域市町村(勝浦市・いすみ市・一宮町・睦沢町・長生村・白子町・御宿町)は『千葉県循環器病センターが広域に供給している医療機能の維持確保に関する要望書』を提出。市民の命に関わる問題として、市原市議会も『市原市において千葉県循環器病センターの機能を今後も維持確保することを求める意見書』を県知事に提出した。
 1月末には市原市地域保健医療協議会臨時総会が開かれた。今回問題となった千葉県における『千葉県循環器病センターあり方検討』について、県病院局の職員から説明がなされた。そこで、やはり『千葉県循環器病センターのあり方検討委員会(仮称)』を設置し、今後の同センターのあり方について議論を進めると同時に、現在進めている総合救急災害医療センターの基本設計は一時中止すると報告された。同会に出席した市原市保健福祉部の星野義行部長は「最も心配なのは危機感が先行してしまい、現在、通院している患者さんや入院している患者さんの不安をかきたててしまうこと。それは避けたい」と危惧する。
 2月には市原市町会長連合会(鳥海哲男会長)が回覧板を通じて『千葉県循環器病センターの存続を求める署名のお願い』と署名活動を実施し、3月初旬には3万人を超える署名が集まり、市原市に提出。現在も署名は継続中だ(市原市では牛久のホシノ薬局本店と深山文具店に署名用紙を用意)。近隣の市町村にも署名運動は広がりをみせている。鳥海会長は「どのような結果になろうとも署名運動は続ける。過去にも存続の危機はあった。今後また同じような事態にならないよう市民の声をしっかり県に伝えたい」と話す。
 3月初旬には、前出の星野伊久雄さんと、今回の件について、いち早く地元民に伝えた『南いちはら応援団新聞 伝心柱』発行人・原地利忠さんが弊紙の取材に同行し県庁を訪問。県循環器病センター移転白紙撤回を求めた。県議会副議長の鈴木昌俊議員と県病院局経営管理課の松尾課長、県健康福祉部健康福祉政策課の神部課長に今後の見通しについての質問や、いかに同センターが県南の県民にとってかけがえのないものであるか訴えた。
 県南に暮らす私たちの命を守る貴重な存在である県循環器病センター移転が、二度と検討されることがないよう多くの人が願っている。

※役職は取材時3月9日時点

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