市原にはシニア女性が集まれる場所が少ない。ならば自分たちでつくろう!

料理を通じて親睦を図る会

 毎月第3月曜日の10時から14時まで、国分寺台公民館調理室で、63歳から83歳のシニア女性たちが集まり料理教室を開き、調理をメインに歌や踊りなども楽しみ親睦を深めている。教室の講師を務め、会を立ち上げた石川穂美子さんは83歳、共に発足に関わった米森トミ子さんは82歳。大正琴サークルの仲間だった二人は4年前に「シニア世代の女たちが集まれる場が市原にはない。お稽古事でなく普段着感覚で参加できる料理を通じて交流し、楽しい時間が共有できる場をつくろう」と、地元の国分寺台公民館に個人登録し活動をスタート。
 60歳で定年後、市内各地で料理教室の講師を務めた経験がある料理好きの石川さん。かつては大正琴の愛好者グループで老人ホームを慰問するボランティア活動も。そうした趣味の仲間の口コミなどで数名が集まり2年後には14名に。ところが、そのころ石川さんは脊柱管狭窄症や外反母趾などが悪化し入院。2カ月ほど教室を休み会の運営は難しいので退会しようと考えた。米森さんも同様に持病があり、二人とも介護支援を受けている。そんな経緯から訪ねた、いちはら市民ネットワークで開催している『おしゃべり介護喫茶』で主宰の喜多庸子さん(68)と出会う。
 石川さんと米森さんが80歳を前にして会を立ち上げ、仲間たちと楽しんでいることを知った喜多さんは感動した。自分も会のメンバーになり、二人に代わって事務局として会の運営をするから、石川さんに会を辞めないようにと説得。そして、講師という形で会に参加することになった石川さんは「喜多さんが買出しや運び込みをやってくれるので助かります。皆さんが色々とサポートしてくれるから、不自由な身体でも参加できる。感謝しています」と微笑む。喜多さんは「お二人とも持病に悩まされながらも挫けず、年だからとあきらめず、自分たちが希望する場がないのなら自分たちでつくろうという実行力は素晴らしい。前向きな生き方で頭が下がります」と話す。
 9月の教室開催日、取材に伺った。今回の参加者12名が2班に分かれ調理開始。この日の献立は、栗ご飯、天ぷら7種(エビ、サツマイモ、オクラ、ナス、カボチャ、ゴーヤー、シソ、シシトウ)、豆腐とネギ等の味噌汁、そして毎回、石川さんが持参する自家製の糠漬け、デザートはリンゴとコーヒー等。余った食材で急遽手際よくサラダを作るメンバーの姿も見られた。調理中、全体の流れを石川さんが把握しながら、要所要所で注意やアドバイスを呼びかける。皆さん、調理の合間に食材や料理についてのお喋りも弾むが、さすが手馴れたもの。正午には料理は出来上がり、会食タイムに突入。
 食事をしながら近況報告など話題に事欠かない。食事が終わると、「腹ごなしと身体と頭を使って老化防止に」と『ダンシングヒーロー』に合わせて盆踊り。皆さんの笑顔が弾ける。そのあとは歌の時間。これもまた、大きな声で歌をうたうことは健康にいいと、配られた歌詞カードを見ながら元気良く『あの素晴らしい愛をもう一度』と『北酒場』をうたった。
 歌も盆踊りの振り付けも上手だった女性は、大正琴を20年続ける傍らスポーツジムにも通い筋トレをしているという笑顔がチャーミングな75歳。「クヨクヨしないからストレスもたまらない」と朗らかに笑った。一方、歌も踊りも休み休みだった人は、喘息持ちで話がしづらいといいつつも詩吟をやっているというチャレンジャー。三味線を15年やりながら民生委員も務める人、フラダンスや絵のサークルにも参加している人、日本舞踊や習字、体操もやっている人、二人の孫の世話に追われている人など皆アクティブだ。

月に1回の楽しみの時間

 あっと言う間の4時間だった。皆さんにこの会に入って良かったと思う点について尋ねると、「ここに来れば一人じゃない、仲間がいると思えること。自己流でやっていた調理法の間違いに気付かされたり、タメになることが多い」、「この人数で嫌味や意地悪を言う人もなく、仲良しグループで固まることもないのがいい」、「年をとってから料理する機会が減ったので、皆で楽しみながら料理する時間ができて嬉しい。自宅で一人で食事をしているので気心の知れた人たちとの会食が楽しみ」、「マイペースで楽しめる」等々の声が聞かれた。その上で、「月に1回の、この日が生き甲斐になっている」というコメントが多かった。
 20年以上、親の介護を続けながらも会のリーダーとして料理教室の運営に携わる喜多さんは「普通に暮らしていたら出会えることのない人たちと出会え、お付き合いできる場。自分より年上の元気な人に会えると励みになり嬉しい。元気な高齢者が自主的に集まり、会を運営する。これからの高齢化社会の理想ではないでしょうか。年をとっても、こうして人と人がつながっていく場が市原にはほとんどない。この会が、その第一歩なのでは」と語る。
 石川さんと料理教室を立ち上げたのち、やはり同公民館で講座ではなく個人登録をして編み物教室をスタートさせた米森さんは「自分が今まで生きてきて習得してきたものを誰にも伝えることなく死んでしまうのは心残り。誰かに残していきたいという想いがあるので続けています」と話した。
 残念ながら、現時点では料理教室のメンバー募集はしていない。人数を増やしてしまうと運営メンバーの負担が増えるため。但し、メンバーの退会があった場合は入会を受け付けるそうだ。

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