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【袖ケ浦市】手仕事には『うれしい』がたくさん詰まっている すが みほこさん
- 2019/4/12
- 市原版, シティライフ掲載記事
- 内房
袖ケ浦市在住のすがみほこさんは切り絵作家として、名刺やウェルカムボード、店舗利用デザインを制作して日々精力的に活動中。また、amimumemO(アミムメモ)のブランド名で羊毛フェルトやあみぐるみの雑貨などをイベントで販売している。「袖ケ浦市生まれの私は、幼い頃近くに住む曾祖母の家に遊びに行っては一緒に『笑点』を見ていました。お客さんからお題を貰って即興で切り絵をする『紙切り』芸のはさみを自在に操る姿に憧れたのが、今の私の原点かもしれません」と笑顔で話す、すがさん。おっとりとした口調と柔らかい雰囲気は、彼女の作品にも大きく影響しているようだ。和装に身を包んだ男女が桜の花に囲まれる切り絵には、滲みでるほどの幸福感と温かさが表現されている。また、椿の花や鳥たちと神社に立つ少女の作品からは太陽の光まで感じるような華やかさが漂う。どこか立体的に見えることも不思議だ。
「小中学校では図工や美術が得意でした。ただアートに憧れはあったものの芸術専門の大学に行くことはなく、都内で短大の英文科を卒業した後は地元に帰り就職。事務職として働き、その頃はお菓子作りが好きでしたね」と、振り返る。とはいえ、短大時代にも手を使って物を作ることに興味はあった。一人暮らしをしていたアパートで仲良くなった住人に、布で制作したクマのマスコット人形をあげたこともある。「相手の喜ぶ顔を見ることが嬉しかった」という、現在の制作意欲にも共通する感情が、すがさんの原動力のひとつ。そこには自身の育った環境の影響も少なからずあった。「私は三姉妹で育ったんですが、母が小さい時から洋服や小物を手作りしてくれたんです。小学校の高学年くらいになると、それを恥ずかしいと思ってしまうこともありましたが、今思うととても幸せなことでした」という。
物を作って人に喜んでもらう。そんな幸せが開花していくのは結婚と出産を迎えた20代半ばの頃。「息子を妊娠している時につわりが酷く、外出が難しかったんです。おくるみやガラガラを自分で作って楽しんでいたら、毛糸で作るぬいぐるみ『あみぐるみ』にはまりました」と、ここが物作りの大きなスタートラインになった。子どもの成長に合わせ、『あみぐるみ』や『ビーズ教室』、『パステル画』など様々な制作に取り組んだ。自宅でビーズ教室を開き、子どもが小さくて遠くに出掛けられないママ同士で作品づくりを楽しんだ時もあった。そして自身の作品が完成すると、ネットで立ちあげたショップやイベント出店で販売した。「夫や息子は協力的でイベントに一緒に来ては、後片付けしてくれて助かりました。夜はリビングで3人それぞれ制作、仕事、勉強と団らんしながら同じ時間を過ごせたことも楽しかった」とか。
そして数年前、クリエイタ―が集まるビジネスショーで出版社の人に声を掛けられ、すがさんは大きな目標を達成した。日東書院より『12か月を彩る切り絵のある暮らし』、大創出版より『すてきな切り紙』、『おしゃれな切り紙』。共著で日本ヴォーグ社から『12か月を楽しめるはじめての切り紙』、『和の切り紙ごよみ』など計5冊を出版したのだ。大創出版の2冊以外はネットショップアマゾンより購入可能。
手作りのぬくもり
切り絵やハンドメイド作家として大切にしているのは『手で作ったぬくもり』。パソコンのソフトで絵を描くことも珍しくない昨今だが、すがさんは、ほぼすべてを手作業で行う。「最後にデータを落とし込むことはしますが、切り絵をわざとしっかりと貼り付けなかったり、刺繍を入れたりして工夫します。紙とハサミだけでこんなに楽しめるんだよ、と伝えたいです」。すがさんは本を出版するだけでなく、個人のオーダー制作やイベント出店、学校等からの依頼で講座を行うことも。また、アリオ蘇我では毎月第4木曜日にカルチャースクールを開講している。
「材料を買って作るという楽しさに加え、出来上がった時の達成感や喜ばれた時の幸せと、手仕事は嬉しいことの連続です。また、手仕事は記憶も呼び覚まします。私は結婚前に父を亡くしているのですが、中学生の頃ミモザの花を持って帰ったら、花粉症の父に叱られました。それを思い出しながら1500枚ものパーツでミモザの切り絵作品を作っていると、不思議とミモザの香りが漂っていたのです。父が遊びに来てくれた気がして、じんとしました」と話す、すがさんの手の中でミモザの作品は鮮やかに光っているようだった。イベントおよび作品について詳細は問合せを。
問合せ:すがさん
TEL.090・3509・8991