私のひとり言 相川浩 ヒヨドリの巣立ち

 梅雨入りのある日、わが家の槙の木にヒヨドリが巣づくりしているのに気づいた。例年になく雨の日も多く、親鳥が動かず卵を抱いている姿には心を打たれた。巣篭りから15日後、ヒナの泣き声が聞こえ、3羽を確認する。
 それから7日後の朝、幸運にも巣立ちに出会った。3羽のヒナは巣から身を乗り出し大きく口を開け、餌を運んでくる親鳥を待っていた。くちばしにバッタを挟んで戻って来た親鳥が巣に近づいた途端、ヒナは巣から一斉に飛び立った。2羽は近くの高い木まで飛んだが、1羽はうまく飛べずに庭に落ちるように着地し草むらに身を寄せた。様子を見にヒナに近づくと、2羽の親鳥がすかさず飛んできて、鳴き声高く私の頭上で威嚇するので、やむなくその場を離れ見守ることにした。
 元気な1羽のヒナは近くの小枝に止まり、かわいい声で親を呼んでいた。すると餌をくちばしに親鳥がやって来た。その後ビックリする行動を目にする。ヒナは口を大きく開け餌を貰おうとしていたが、親鳥は餌をヒナの口元まで運び与えなかった。4回じらしたあげく5回目にやっと与えた。これは?と思い双眼鏡を離さず観察することにした。何と同じ行動を3度も目撃する。
 一方、別の小枝に止まっているヒナは頼りない状態で、必死にしがみ付いているかの様にも見えた。そこへもう1羽のヒナも飛んできて同じ様にじっとしていた。2羽とも身体は小さいものの羽はもうしっかりしていたが、尾だけは短かった。かなり長い間2羽はこの小枝にとまっていたが、今度は親鳥が2羽の後方から体当たりし、飛び立たせた。飛翔を促す行動だった。厳しくも成長を促す親の気持ちを強く感じ、自然界の深さを認識する初夏となった。


・相川浩:市原市出身。三井造船で定年まで勤め、退職直後の平成20年、自宅敷地にギャラリー・和更堂を設立。多くの郷土の芸術家と交流する。「更級日記千年紀の会」事務局担当。

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