匂い立つ押花絵 花に永遠の命を 押花コスモス会 押花絵画展【茂原市】

 茂原市立美術館で8月末から10日間、押花コスモス会による押花絵画展が開催された。会の代表で押花インストラクターの吉田光子さんは茂原市在住で、茂原市内外の6か所で教室を主宰している。絵画展は3年に1度開かれ、今回で3回目。6つの教室から出品された100点ほどの作品と、押花をあしらったウェディングドレスや障子を用いた展示で会場は華やかな雰囲気に包まれ、会期中は大勢の人でにぎわった。
 一言に押花絵と言っても作風やモチーフは様々で、風景画や古典絵画の模写、物語の一場面を描いたりステンドグラス風に仕上げたものなど、バラエティに富んでいる。どれもこれも趣向が凝らされ、思わずため息が出てしまう美しさだ。中には孫息子の命名書や、息子夫婦の結婚披露宴のウェルカムボード、花嫁のブーケを作品にしたものもあり、ハレの日を彩るにふさわしいその華やかさは押花絵の特徴の1つだろう。
 さらに驚くのは、画材として使われる素材の種類の多いこと。「花や葉はもちろん、果物ではイチゴやレモン、野菜ではトマトや人参なども薄切りにして乾燥させることができます。ツルものは動きを出すのに重宝し、コケや木の皮も使うことができます」と、吉田さん。押花の素材集めは、自宅で花を育てたり、仲間と散策をするなど楽しみでもあり、また苦労でもあるという。「作品にはいろいろな風合いや色の押花が大量に必要です。1年を通してその時期にしかないものを逃さないよう集めたり、材料になるものを何かと探す癖がついています」と話す吉田さんの自宅には、衣装ケース5個分の押花のストックがあるそうだ。
 絵画の作成はピンセットを片手に、台紙の上に押花を置いていく。「平面で立体感を出すのがとても難しいです」「頭に浮かんだイメージをどうしたら表現できるか、先生にいつもアドバイスをいただいています」と、会員たちは時に四苦八苦しながら、花の命を額の中に閉じ込める。会場には押花をあしらった箸置きや印鑑入れなどの小物も陳列され、小物づくりの体験会も行われた。祖母の作品を見に来た小学5年生の遠山裕乃さんは、ボールペンとコースターを作成し、「コースターは色の配置が大変でしたが、とても楽しかったです」と笑顔で話した。
 教室は次の6か所。茂原市五郷福祉センター、同二宮福祉センター、同墨田の吉田さん自宅、長柄町公民館、市原市辰巳公民館、千葉市鎌取カルチャーセンターで、それぞれ月1回。興味のある方は問合せを。


問合せ:押花コスモス会 吉田さん
TEL.090・7809・9893

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