祖母秘伝のだんごを、後世に残す使命 白金茶寮 西郷 光貴さん【市原市】

 2018年3月、市原市君塚にオープンした『和み処 白金茶寮(しろがねさりょう)』。『やちばあちゃん秘伝のだんご』をテーマに地元の素材を生かして作られた団子専門店だ。今年1月に県主催で行われた『食のちばの逸品を発掘2020』コンテストの直売所部門では、見事審査員特別賞を受賞。受賞したみたらし団子は、一般的な製法と違ってもち米を一切使用せず、千葉県産のコシヒカリをそのまま蒸してついた、お米の風味が残る昔ながらの手作り。富津市の醤油、館山市の鰹節、以前は八街市のピーナッツなど千産千消にこだわりながら、店長の西郷光貴さんは一人で店を切り盛りし、『本物のだんご』をもっと地域に知ってもらおうと奮闘中だ。


父の背中を見て育つ

 館山市出身の西郷さんは、幼い頃に両親がクレープ屋をやっていたことがきっかけで将来は飲食店をやりたいという夢を持っていた。「鴨川市の高校に通っていた頃は父が雑貨店の経営をしていて、五井駅近くに店舗を構えていたので手伝いでよく市原市に来ていました」。高校卒業後は都内の大学へ進学したが、3年の時に中退し、すぐにWEB制作会社に就職した。「営業職だったんですが、当時はITの進化が目まぐるしくて日々勉強の連続でした。3年ほど勤めた後、父親の経営を手伝うために館山市に戻ったものの、一緒に仕事をすると方針が異なってぶつかりお互いうまくいかなかったんです。ただ、今個人で店を持って初めて、あの頃の父の苦労を感じることもあります」と、話す。その後は、千葉県内や都内で転職を繰り返したが、転機は2015年に訪れた。再び、父親から仕事を一緒にやろうと誘われたのだ。それが、館山城の麓にオープンさせた『里見茶屋』。やちばあちゃん秘伝の団子の始まりだった。
「やちばあちゃんは母方の祖母のことで、山形県の田舎町である谷地(やち)に住んでいたことでそう呼んでいました。祖母も昔団子を売っていたんです。米を蒸すので若干の米の感じがそのまま残ること、一般的な団子のように小さく丸めていないことなど祖母の作り方であり、東北の製法を引き継いでいます」と、西郷さんは説明する。他にも、餡子の糖度を33度とかなり控えめに保ち、団子すべてを一人で手作りし、一切の作り置きをしない。
 添加物も不使用で、卵や小麦粉、乳製品のアレルギーがある人でも安心して食べられることから、今では大人から子どもまでファンが増加しているようだ。その強いこだわりは、「『里見茶屋』をオープンして4カ月後、やちばあちゃんは他界しました。全然何の報告もできていない状態だったので、当時は悔いもありました。でもその分、絶対に潰してなるものか」という決意から来ている。

メディア注目の団子

 2018年3月に『和み処 白金茶寮』で独立するまで、父親と共に館山市で販売を続けた西郷さん。その頃から、『やちばあちゃん秘伝のだんご』は注目を浴びていた。テレビ番組『千葉の贈り物~まごころ配達人』や『ぶらり途中下車の旅』、『タカトシ温水の路線バスの旅』の他、ラジオや新聞、雑誌などで取り上げられる機会は多く、日本全国から食べに来る人もいるとか。
「館山では特に花見シーズンは出店すると夜10時頃までやっていました。翌日の営業のため、寝ずに仕込みすることも。当時の努力が、今一人でやれる力となっています」と、話す西郷さんの朝は早い。午前5時に起床して、2階の住居から降りて火をおこす。湯を沸かすのにさえ30分はかかり、充分な米を蒸すのに3時間。10時にオープンしてから17時まで店頭に立つが、団子が売り切れ次第終了!あまりの人気に15分で完売したこともある。「今では、一からすべて手作りしている和菓子の店は全国でも1割ほどと言われていて、そこに自信を持っています。ただ、昨年の台風の影響やまだ市内での認知が低いため、うまくいかないこともあります。どうしたら自分らしさを出せるか、日々奮闘中です」と言う。
 餡子やみたらしだけでなく、スイートポテトやチョコなどコラボレーションしたメニューは和洋折衷とも言うべく、西郷さん独特の持ち味。今は、「美味しそうに食べてくれる子ども達の笑顔が喜び!」というが、今後は2号店オープンを目指していく。月に1回、市原市新生の『房の駅』にも出店中。活動情報および他詳細は問合せを。

問合せ:西郷さん ℡0436-26-6499
https://peraichi.com/landing_pages/view/528xb
市原市君塚5-5-26 10時~17時(売切れ次第終了) 
定休日:月曜、もしくは第4水曜(変更あり)




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