- Home
- 市原版, シティライフ掲載記事
- ふるさとビジター館 いちはら自然探訪 サンコウチョウとその取り巻き
ふるさとビジター館 いちはら自然探訪 サンコウチョウとその取り巻き
- 2020/4/9
- 市原版, シティライフ掲載記事
- ふるさとビジター館
毎年5月、繁殖のために東南アジア方面から、日本に渡って来るサンコウチョウをご存知だろうか? オスの明るい水色のアイリングと嘴が熱帯を感じさせ、胴の長さの3倍もある尾羽がスタイリッシュ感を与えてくれる美しい野鳥だ。「ツキヒーホシ、ホイホイホイ」と軽やかにさえずり、容易に存在を確認することができる。その「ツキヒーホシ」が「月日星」と聞こえることから「三光鳥」と名付けられたと聞く。
市原近郊では、ある森が繁殖地として有名になり、その美しい姿を求めて毎年県内外から多くの観察者やカメラマンが来場、大賑わいとなる。そのため、一部のカメラマンのマナーに起因するトラブルがあると聞く。特に営巣場所近くで、撮影用の三脚で通路を塞ぐ、場所取り争い、撮影のために既設の観察路以外に道を作るなどのトラブルを耳にする。最も深刻なのは、人の存在やストロボ使用でサンコウチョウにストレスを与え、巣を放棄させてしまう繁殖妨害である。野鳥にとっては、致命的である。
デジタルカメラの普及による野鳥カメラマンの急増、ネット情報による多くの人の来場、野鳥を見守るというよりも写真撮影を優先させる行動、それらがトラブルの背景にあると考えられる。サンコウチョウの美しい姿と軽やかなさえずりを次世代に残していくためにも、野鳥を優しく見守り、人と自然の共生を育むことが必要であると感じる。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)