ふるさとビジター館 いちはら自然探訪 ~玉虫(タマムシ)~

 夏の暑い盛り、雑木林上空をキラキラと光を反射させて飛ぶ昆虫がいる。体長約4センチのタマムシだ。緑色の金属光沢の羽に赤紫の縦筋が対で入り七色に光り輝く。
 美しい輝きの秘密は、「構造色」という仕組みにある。最外側の固い羽には、1ミリの1万分の1(100ナノメートル)位の層が20層くらい重なっていて、光が当たると、重なった層のそれぞれで反射する。その反射した光が組み合わさると、ある色の光が強まったり、別の色の光が弱まったりする。それが光線の具合や角度により、変化して見える。この仕組みが構造色である。タマムシは、この構造色のおかげで、野鳥から身を守ったり(野鳥はキラキラしたものを怖がる性質がある)、オスとメスの出会いに役立ったりと、いろいろと効果があるようだ。
 微妙に色が変化し美しく輝くことから、タマムシは、古くから人々に親しまれてきた。法隆寺の国宝「玉虫厨子」にも装飾として使われていることはよく知られている。中国では「吉丁虫」と書き表され、「身に付けると恋がかなう」などおめでたい虫として扱われていると聞く。色が微妙に変化し、何色か特定できないことから「どのようにも解釈できて、はっきりしないこと」の例えとして私たち日本人は「玉虫色」という言葉を使う。
 構造色を持つ身近な例では、コンパクトディスク(CD)がある。皆さんも、身近にある構造色を探して見ては?
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

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