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ふるさとビジター館 いちはら自然探訪 ~玉虫(タマムシ)~
- 2021/8/10
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- ふるさとビジター館
夏の暑い盛り、雑木林上空をキラキラと光を反射させて飛ぶ昆虫がいる。体長約4センチのタマムシだ。緑色の金属光沢の羽に赤紫の縦筋が対で入り七色に光り輝く。
美しい輝きの秘密は、「構造色」という仕組みにある。最外側の固い羽には、1ミリの1万分の1(100ナノメートル)位の層が20層くらい重なっていて、光が当たると、重なった層のそれぞれで反射する。その反射した光が組み合わさると、ある色の光が強まったり、別の色の光が弱まったりする。それが光線の具合や角度により、変化して見える。この仕組みが構造色である。タマムシは、この構造色のおかげで、野鳥から身を守ったり(野鳥はキラキラしたものを怖がる性質がある)、オスとメスの出会いに役立ったりと、いろいろと効果があるようだ。
微妙に色が変化し美しく輝くことから、タマムシは、古くから人々に親しまれてきた。法隆寺の国宝「玉虫厨子」にも装飾として使われていることはよく知られている。中国では「吉丁虫」と書き表され、「身に付けると恋がかなう」などおめでたい虫として扱われていると聞く。色が微妙に変化し、何色か特定できないことから「どのようにも解釈できて、はっきりしないこと」の例えとして私たち日本人は「玉虫色」という言葉を使う。
構造色を持つ身近な例では、コンパクトディスク(CD)がある。皆さんも、身近にある構造色を探して見ては?
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)
ナチュラリストネット/自然を愛する仲間の集まりです。市原の豊かな自然環境をいつまでも永く残したいと活動しています。 Tel.080・5183・9684(野坂)