ふるさとビジター館 自然探訪~良い匂いを持つジャコウアゲハ~

【写真右】ウマノスズクサに産卵するジャコウアゲハ

 

 黒色のアゲハチョウには、いくつか種類があるが、一般的には「クロアゲハ」と一括りにされてしまうことが多い。その種類は、尾状突起(翅の後部にある細長い突起)の有無や翅の白斑や赤班などで見分けることができる。今回紹介するジャコウアゲハは、腹部に赤色の帯状に連なった斑紋がある。この模様があるのは、本州に生息しているアゲハの仲間ではジャコウアゲハだけなので、お腹を見れば容易に見分けがつく。

 ところで、ジャコウアゲハの名前は、オスの成虫が腹部から麝香(ジャコウ)のような匂いを発生させることに由来していると言われる。ジャコウとは、雄のジャコウジカの腹部にある香嚢(ジャコウ腺)から得られる分泌物を乾燥した香料、生薬の一種で、甘いバラの香り、みずみずしい草の香りと表現されるようである。ジャコウアゲハのオスが発するこの匂いはメスを引き寄せるという役目をもっている。さらに、この匂いを好むのはチョウだけではないらしい。匂い成分・フェニルアセトアルデヒドが含まれる香水や香料は、世の女性たちも引き付けて止まないようだ。

 ジャコウアゲハは、毒を持つチョウでもある。幼虫が食べるウマノスズクサ類の葉にはアルカロイド系の毒が含まれ、体内に蓄積されたこの毒は、チョウに羽化した後も一生を通して体内に残る。そのため、ジャコウアゲハを食べた捕食者は中毒をおこし、捕食したものをほとんど吐き出してしまう。ジャコウアゲハを捕食して中毒を経験した捕食者は、ジャコウアゲハを捕食しなくなると言われる。

 良い匂いを発しながら、自ら毒となり天敵を追い払うという何とも不思議なジャコウアゲハ。皆さんも、このチョウの匂いを嗅いでみたいと思いませんか?
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

 

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