市原市俳句協会創立60周年記念~令和6年度市原市春季俳句大会・記念式典開催~【市原市】

 市原市俳句協会は、市原市が誕生した翌年の昭和39年に発足し、今年60周年を迎えた。当初の名称は「市原市俳句同好会」だったが、平成21年に子どもたちへの俳句啓発を図るため名称を変更し、希望する学校での俳句ワークショップや、小中高校生による文芸コンクールの開催を通じて、俳句文化の裾野拡大を目指している。
 4月20日(土)、市原市市民会館で開かれた記念式典には、小出市長、林教育長、関本文化団体連合会会長、市川歌人会会長が臨席し、市原市内外より多数の俳句愛好家が集まった。
 小出市長は来賓祝辞で、
 進むべき道を開かむ 花吹雪 小出無休
と、自作の句を披露し、文化の香り高い街づくり、子どもの心を育てる教育など、俳句協会の活動に大いに期待を寄せていることを、ユーモアを交えて強調した。林教育長からは、市内の小学校でのワークショップでの成果や、小中高の文芸コンクールへの感謝の言葉とともに、今後も、学校教育への協力を願いたいとの話があった。また、市原市俳句協会に長年にわたり貢献した功労者11名に感謝状と記念品が手渡された。

 

 記念講演は、竹声会主催の野口糸朗氏が登壇された。
 ゆさゆさと大枝ゆるる桜かな 村上鬼城
 この句をもとに、俳句の読みについて講演され、参加者は熱心に聞き入っていた。
 席題の部では、当日の12時に「枝垂桜」「春惜しむ」の課題が発表され、参加者は開会に先立ってその場で俳句を作った。12時50分には締め切られ、係の手によって全員の句が印刷され配られた。
 この中から、一般参加者も選句用紙に良いと思う句を書きだして提出する。これを披講係が朗々と読み上げていく。自分の句が読み上げられると、作者は声高らかに名乗りを上げる。点盛り係が記録をとり、得点を集計する。自分の句が読み上げられるかどうか、期待と緊張の時間であるが、読み上げられるとやはり嬉しそうである。席題の部の結果は以下の通り。
・市原市長賞
 切り株に座して城址の春惜しむ 鈴木喬二
・市原市俳句協会賞
 息災を称えて春を惜しみけり 木村傘休
・市原市議会議長賞
 手を伸ばす枝垂桜へ車椅子 戸谷洋子
・市原市教育長賞
 昏れ残る人無き古刹糸桜 野口糸朗

 

 この他、あらかじめ「春光」「散」「当季雑詠」の三句を募集した兼題の部では、主選者の野口糸朗氏と俳句協会で審査の結果、次の方が受賞した。
・市原市長賞
 茎立つや不揃ひと言ふ自由あり 芦刈茜
・市原市俳句協会賞
 春光のマリアは浦へ手を広げ 松本正子
 土筆和え小さき嘘の苦きこと 芦刈茜
・市原市議会議長賞
 大根干す半身昭和に置く暮らし 前田孝子
・市原市教育長賞
 紫木蓮安房には安房の波の音 鷹崎由未子
 創立60周年という記念の年にふさわしく、和やかな中にも凛とした格調のある句会であった。
(市原市俳句協会理事 小出美千代 )

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