ふるさといすみにこだわり美しいものを撮り続けたい

写真家 掛須 昌子さん

 26年ほど前、東京の北千住からいすみ市苅谷へ嫁いできた掛須昌子さん(49)は、息子が柔道を始めたのをきっかけにカメラを持ち始めた。「小さいデジカメで撮っていたのですが、それじゃ連写ができないと一眼レフを持ったのが初めてでした」。それまでは、子どもの運動会なども撮影はご主人。掛須さんは応援専門だったと笑う。
 カメラを持った掛須さんは、その後、朝夕のウオーキングの際に見るいすみの景色の美しさに感動してカメラのシャッターを切るようになった。「知っていますか? 朝もやの中の低い山並みを撮ろうとすると、電線を入れずに写真が撮れるんですよ。お嫁に来て、初めて景色や自然を見るようになりましたけど、ここいすみには本当にすばらしい景色がいっぱいあって、それを毎日ブログにアップしていました」
 そんな日々の中、あるきっかけで睦沢町の歴史民俗資料館の学芸員の方と知り合いになり、資料館の収蔵品の撮影を頼まれる。そこで出会ったのが「波を彫ったら日本一」と言われる伊八の欄間彫刻だった。「学芸員さんの原稿に使う写真をということで、飯縄寺の欄間を撮らせていただいたんですけれど、最初彫刻の天狗が怖くて怖くて、天狗の周囲しか撮影できなかったんです。おかしい人って思われるかもしれませんけど(笑)、天狗さん仲良くさせてくださいってお願いしながら撮影しました」
 その写真は、一般的な資料写真とは違い、芸術的だと学芸員も絶賛。「私は自分がいいなと思ったものしか撮れませんが、資料写真と芸術写真の違いを教えていただいたよう思います」と掛須さん。昨年暮れには、いすみ市のレストラン『カンパーニャ』にて、それらの写真を展示した『飯縄寺の伊八 掛須昌子写真展』を開催した。また現在はいすみ鉄道国吉駅近くの街の駅『いってんべぇ国吉』で同様の写真展を31日(月)まで開催中。
 またこの学芸員の縁で、睦沢町の光福寺の本堂の欄間彫刻の撮影も依頼された。これは、伊八の3代前にあたる房総出身の彫刻師で、成田山新勝寺の光明堂や三重塔の彫刻も手掛けたといわれる島村圓鉄の作だった。「捨ててしまおうかって話が出たとか。欄間彫刻って建築の一部としてしか見られてなくて、その価値が注目されるようになったのはここ数年だとか。私は最初に伊八や圓鉄のような素晴らしい作品を撮らせていただけて本当に幸せです」。そう話す掛須さんの圓鉄の写真は、現在『カンパーニャ』に展示中だ。
「ふるさといすみを撮る」を肩書に現在写真家として活動する掛須さんは、カメラを始めてから一生懸命物を見るようになったと話す。「そうすると愛着もわくし、会話もしたくなる」と。飯縄寺で撮影をしているときは、天狗が集まってきた気配を感じたそうで、「私の祖先が神主だったので、その縁で飯縄寺に呼ばれたのかなとも思いました。木の上にいるのは天狗だなって(笑)。会話をしながら撮影しました」
 カメラのほかにも掛須さんは、パソコン、フラダンスに英会話、裁縫と何でもやってきた。「器用貧乏なんです。ダイエット以外は何でもします(笑)。何になるかわからないけれど、何でもやっておこうと思ってやってきました。目の前のチャンスは必ずつかむというのが信条です」。そんな中で一番続いているのがカメラだ。
 これからも欄間彫刻などは撮り続けていきたいと話す掛須さんは、同様に「ふるさといすみ」にもこだわり続けていきたいという。「私は地域に根ざすということがなかったので、昔からの幼なじみとか神社のお祭りで神輿を担ぐとか憧れていたんです。ここにきたらそれがあって、すごく憧れていたのでとても新鮮で。ふるさとはここっていう思いは強いですね」。地元の人が見逃してしまっている美しい風景も、まだまだ撮り続けていくつもりだ。        
問合せ 掛須昌子さん
TEL 090・2444・8236
akiko.kakesu@gmail.com

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