温かい仲間 人と音楽が人を呼ぶ

吹奏楽団 長生ウインドアンサンブル

 居心地のいい仲間とともに大好きな楽器の演奏に思う存分打ち込める、そんな場所がここにはある。山武・長生・夷隅地区を中心に演奏活動を行っている実力派の楽団『長生ウインドアンサンブル』。高校生から60代まで、幅広い世代の約60名が毎週土曜の夜、茂原市立東中学校の音楽室に集う。親子や姉妹、夫婦で参加している人、県外から勤め帰りにはるばる通う人もいる。出席率が高く入団すると誰もが長く続く秘訣は「団員一人ひとりがお互いのことを思いやりながら、ひとつの目標に向かって協力し合っているからでしょう。人間関係がとてもいいのです」と音楽監督・常任指揮者の伊地知幸太郎さん。伊地知さんは東中学校をはじめ近隣の中学・高校などでも吹奏楽部のコーチを務めている。
 学生時代に続けていた吹奏楽を、卒業してからも楽しみたいとの声に応えるため伊地知さんを迎え2008年11月に発足した。定期演奏会、県吹奏楽コンクールのほか中学・高校・一般の楽団が集結する吹奏楽祭など年に10回ほど発表の場を持つ。吹奏楽祭では、合唱団など他のジャンルの音楽団体とのコラボレーションもあり団員たちにとって新たな刺激となっているようだ。昨年末にはチャリティコンサート『冬の夜の小さな音楽会』(東部台文化会館)に出演、『アイーダより「凱旋行進曲」』や茂原市の愛唱歌『いつも憧憬(あこがれ)』などを披露した。県吹奏楽コンクールでは金賞の中でもトップクラスの理事長賞を獲得したことも。「コンクールや演奏会は外部の人に自分たちの音楽を評価してもらういい機会。レベルを上げる材料にもなります。好きだから一生懸命に取り組み、趣味だけれど自己満足で終わることなく、お客さんが喜んでくれるような演奏を目指しています」と話す伊地知さんには、こだわりがある。それは演奏会時に決してエキストラを呼ばないということ。足りないパートやソロをエキストラに頼めば簡単に聴き映えのいいステージが出来上がる。だが、それでは団員が成長しない。観客の前でのミスを経験しながら自ら学んでいってほしい、自分たちにしかできない演奏を自分たちだけの手でつくり上げたい。そういった思いがあるからだ。
 中学校の各教室が個々やパートごとの練習に使え、楽器も借りることができる恵まれた環境。加えて伊地知さんと東中吹奏楽部の顧問でもある団長の白井信孝さんの温かい人柄と指導力の高さ。多くの人が集う理由がここにある。同サークルの演奏を聴いて感動し、スタッフとしての活動を経て入団した20代の女性は「団員同士が厚い信頼関係で繋がっているのです。この楽団ならぜひ入りたいと思い、中学校以来7年ぶりにサックスを吹き始めました」と生き生きと話す。「パートを隔てて仲がいい」との声も多く聞かれる通り、半年に1度はバーベキューやボウリングなどパートを超えた団内交流を図っている。また、定期演奏会のプログラムは団員が編集とデザインを手がける。サークルの楽しい雰囲気が十二分に伝わってくる内容は観客からも大好評だという。
 学生時代に吹奏楽経験があり再開した人が多いが、中には全くの初心からクラリネットを吹き始めた人も。楽器演奏未経験、楽譜も読めないところからスタートした30代の男性。当初は「音楽室の扉を開けるのが怖かった」そうだが、いつのまにか3年目。今では堂々と入室し演奏に加わっているという。これもパートリーダーや仲間の支えがあってこそ。サックス担当の鳥海由紀さんは「みんな、どんなに忙しくても時間をやりくりしながら集まってくる。それほど、ここは居心地がいいのです。まるで家族みたい。練習場所が学校だというのもいい。青春時代を取り戻した感じがする」と実に楽しそうに話す。
 取材日には、ブルース調のメロディを含む『メトロプレックス~マンハッタンからの3枚の絵葉書~』の合奏練習が行われており、はちきれんばかりの力強い音が室内に響き渡っていた。真剣な眼差しで指揮者を見つめる団員一人ひとりの熱い気持ちが音に魂を込める。団員の思いはひとつ。「一丸となって演奏し、お客さんを喜ばせたい」
 団員は人づてで、どんどん増えていく。一人ひとりの人間力と音楽が新たに人を呼びこむのだ。人と音楽の温かい輪は、これからも広がっていくことだろう。新団員大歓迎。練習日は毎週土曜、17時30分~21時。月団費、一般・3千円、高校生・千円。

問合せ 白井さん
TEL 090・3202・6899

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