ブラジルに夢中 元駐在員語る

写真↑ (宮田さん)

 昨年、オリンピック・パラリンピックが開かれたブラジル連邦共和国。昨秋、市原市のYOUホールにて『ブラジルってどんな国?商社の駐在員として見たブラジル そして南米』が開かれた。「オリンピック中に報道された危険な国というイメージは残念。深刻な宗教、政治的対立がないので、テロや誘拐は他の南米の国に比べ少ない。ブラジルの熱狂的なファン、ブラキチの一人としてお話ししたい」とその魅力を語ったのは東京在住の宮田次郎さん(65)。日本とブラジルの友好関係を促進する(一社)日本ブラジル中央協会の専務理事・事務局長。元住友商事理事でキューバ、チリ、メキシコなど南米での海外駐在経験は通算14年になる。
 ブラジルは国土が広く、資源に恵まれた国。干ばつは多少あるが、台風や地震などの大きな天災からは無縁。「ブラジル人が日本で地震に遭うと、震え上がります」。ブラジル人にとって大切なのは挨拶と笑顔。オフィスでも朝はもちろん、食事に行くときも挨拶。職場の人の誕生日には席のところにいって抱き合ってお祝いをする。「南米で単身赴任の時期に日本から妻が訪ねてきました。そのとき、空港でハグしなかったので冷たい夫婦だと思われたでしょうね」と笑わせた。
 1908年、笠戸丸出航から日本人のブラジル移住ははじまった。現在、人口2億人のうち日系人は人口の約1%。だが、全国統一入試の合格者の約10%、サンパウロ大学の医学部生の25%、世帯別収入5段階のうち最上流クラスの21%を日系人が占める。「日本人というだけで尊敬されます」とのこと。
 家族の絆が強く、親切で陽気な国民。「もし勤勉でまじめな日本人が南米大陸を発見し、ブラジルに上陸していたらブラジルはアメリカ以上に豊かな国になっていたかもしれないと話すと、ブラジル人は、日本人が今のブラジル人のように楽天的になるだけと言います」。日本語で真面目という意味の「セリオ」はブラジル人にとって「感じ悪い」という意味だそうだ。
 経済成長率、複雑な税制、過剰な労働者保護、官僚主義など政治、経済、歴史解説の合間に、参加男性が「恵まれた国なのに犯罪率が高いのはなぜか」など質問すると「階級社会なので貧しい人が豊かになれないからです」と答えながらの講義。「銀ブラとは銀座でブラジルコーヒーを飲むこと」、「サトウキビの酒カシャーサで作るカクテルのカイピリーニャがおいしい」ほか、カーニバル、結婚式、ゴルフ、観光と、駐在員としてなぜブラジルは住み心地が良いのかについて話が続いた。
 終了後、参加者は「イメージが変わった」、「行ってみたくなった」などの感想を述べ、宮田さんにハグを求める女性もいた。主催した市原市オリンピック準備委員会は、英語塾講師古賀敢人さん(29)が個人で立ち上げた団体。現在会員14人。「外国の文化歴史を知り、オリンピックに備えてもらいたいと開催した」そうだ。

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