- Home
- 外房版, シティライフ掲載記事
- 東金の歴史探究をライフワークに生きる
東金の歴史探究をライフワークに生きる
- 2017/2/17
- 外房版, シティライフ掲載記事
東金市在住の山内勲さんは、これまで地元に関する書物を3冊刊行してきた。独自に東金の歴史と文化を調べ、観光ポイントのPRに働きかけている。平成6年に長年エンジニアとして勤めた電機会社を退職し、今後の人生をどう楽しんでいくか考えた山内さん。リフォーム業の会社を自営で起しながら、もともと歴史が好きだったこともあり東金の歴史と文化を学ぼうと決意した。
「東京に長くいましたが、こちらへ移住して30年が経ちます。他の土地を知っているからこそ比較文化として興味が湧きますね」と話す。平成15年に東金市郷土愛好会に入会し、2年後には城西国際大学で観光セミナーを受講。修了証書を得た達成感もあり、東金の町づくりや活性化を生涯の目標とした。市内や城西国際大学の図書館、神田神保町の古書店をめぐって読んだ文献は数え切れないほどで、東金や日本古来の書物に留まらず、中国の史書なども読み漁った。
また、市内をくまなく歩き回り、直接色んな人々に話を聞くことで誰も手をつけていなかった社さえも姿を失った神社の歴史などを知ることができたという。論理的に説明する技術は、会社員時代に工業的な成果を発表する論文の作成で培っていた。その力は平成23年10月発行の『家康の東金鷹狩り 東金御殿を探る』や27年発行の『東金の神社七不思議』、昨年発行した『日吉神社の絵馬 絵馬の起源と変遷』で生かされている。
中でも、『東金の神社七不思議』では地元の人も気づかないような小さな祠までにも注目。1つずつ写真に収め、疑問をひも解いた。「東金は大きな川がなく、昔から水不足でした。そのため、日本全体の神社の傾向とは異なり、東金は水系の神社が多いんですよ」と話す山内さんは冊子の表を見つめながらも、「何でも解明したがるのが癖です」と続けて笑った。また、「東金中心部は大豆谷の日吉神社を頂点に三角結界があり、その中に密度の濃い寺社曼荼羅があるんですよ」というから驚きだ。誰もが気づかずに生きているが、かつての住人たちが頭を悩ませ建立の方角を決めていた。
平成27年には同じ志を持つ仲間11名とNPO法人トウガネゼーションを設立した山内さんは、他にも『鷹の雄姿観覧』や『御成街道と八鶴湖周辺の歴史散策』など多くのイベントも主催。だが、町への思いは決して止むことはない。「東金在住の方々だけでなく、これからは市外、そして国外からの観光地として情報発信とPRをしていきたいです。歴史も世の中に伝えていかなければ廃れてしまいますからね。まずは今年4月に新たな冊子を制作中なので私自身も楽しみです」と最後に語った。冊子、およびイベントについて詳細は問合せを。 (松丸)
問NPO法人トウガネゼーション
0475・54・7830