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民話を通じて人生を学ぶ【御宿町】
- 2022/4/28
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6月9日(木)まで『夷隅民話の会展~楽しい民話~』がウチヤマ2階ミニギャラリーシーガル(御宿町新町481)で開催されている。夷隅民話の会は発足して今年で16年目。現在の会員は23名。全国に知れ渡っている『桃太郎』や『浦島太郎』のようにいすみ地域にも民話があると考え、齊藤弥四郎さんが立ち上げた。
小・中学校の教師だった齊藤さんは、近年、民話に触れる機会の少ない子どもたちにも興味を持ってほしい、との思いがあった。「私が幼少期に祖父母から民話を聞かされていたことも影響しているでしょう。子どもたちは自分の住んでいる地域の話だと、もっと興味を持ってくれます。歴史にも関係あるんですよ。いすみ地域を支配していた上総介広常という人がいて、その人がいなければ鎌倉幕府はできなかったんだよと教えると喜んでくれます」と目を細める。
民話は地域の人から聞き取りで収集したもののほか、断片的に伝わった話を創作、再話したものも含めると、約150話にも及ぶ。去年15周年を記念して記念誌「楽しい民話~民話は人生の縮図~」も発売した。他にも多数書籍化している。大多喜観光案内所・ウチヤマ書店(御宿町)・井上書店(いすみ市)等で購入可能だ。文字起こしは齊藤さんが行う。挿絵は他の会員や知人に手伝ってもらい、製本以外は自分たちで制作する。「印刷も自分たちでやっているので汚れや擦れがあったりしてまさに手作り感満載です」
いすみ地域の代表的な民話のひとつ『トドロキ山の天狗』。これは、山に栗拾いにいった子どもたちがおむすびを食べようとすると天狗が出てきて、不思議なことに持ってきたおむすびがなくなり、あわてて下山するとおむすびが戻ってくる、という話だ。それから『夷隅川の大ナマズ』は、夷隅川でいばって大暴れしていたナマズの話。「トドロキ山の天狗には、自然を大切にという願い、夷隅川の大ナマズには、人間は謙虚に生きていかなければならない、というメッセージが込められています。どの話にも欲にかれたりする人間くさいところがあります。欲をかきすぎたり、威張ったりして失敗する、民話は人間そのものだと思います」と語る齊藤さん。
これまで、民話の語られている場所へ行き、語り継ぐ「民話さんぽ」や学校や老人ホームへ出向き、紙芝居などで語り継ぐ「民話発表会」を行ってきたが、コロナの影響で約2年間活動ができていない。「今は冊子や会報誌を発行することしか出来ていないので、早くコロナが終息して、また活動したいです」と願う。今回のギャラリーは子供でも分かりやすいように長い民話を要約、パネル展示にしている物語や、失われつつある方言を記録しようと、方言箱も設置。知っている方言を投函してほしい、とのこと。「最近の子どもたちは部活動や、学校の授業でも英語やプログラミングなど、新しく学ぶことが多く、なかなか民話に触れる機会がありません。こうして文字に起こしておけば、いつか子どもたちが読んでくれるだろうと思っています」と齊藤さんは話す。問合せは齊藤さんまで。
Tel.090・3315・7321
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