地方都市で歌劇団結成 一流のソリストと共演

 今年2月、勝浦芸術文化交流センター・キュステホール(以下キュステ)において『カルメン』が上演された。なぜ勝浦市で歌劇が開催されることになったのか。それは平成26年勝浦市の市民ホールが新たにキュステとして開館した時、交流人口の増加に向け、市民参加型のイベントを企画したことによる。
 市は外房地域で合唱団を率いる栗原大輔さんにプロデュースを依頼。栗原さんはイタリア語で市民の合唱団という意味の『コーロ・チッタディーニ』を立ち上げ、友人である藤原歌劇団のテノール歌手、村上敏明さんに参加してもらう形で合唱団員を募り、2つの市民コンサートを開催した。これが好評だったことから、次回はオペラをということになり、最初に手掛けたのがビゼー作『カルメン』。村上さんの発案でオペラをやる時だけ『勝浦歌劇団』の名称を使い活動することにした。
 主役級は村上さんを含めた3人の藤原歌劇団員と地元のソプラノ歌手が演じたが、脇役、コーラスは勝浦歌劇団員が務めた。オペラの観劇が初めての人でも理解しやすいようにハイライト版を日本語で、また場面が変わるごとにナレーションを入れた。「最初は市民コーラスの一般公募があったので参加しましたが、コンサート終了後、急遽カルメンをやることになりました。練習期間は2カ月しかなく、歌うだけじゃなくセリフや演技もあるので本当に大変でした」と団長の渋谷幸夫さん。予算的にも制限があったので、ステージの背景は画家でもある栗原さんの描いた絵をスクリーンに映し出し、衣装は借りたり、時代背景を考えながら団員達が作った。また物作りに長けた団員が軍服の帽子やライフル銃などの小道具も作ってしまったという。
 そして当日は地元の人だけではなく、県外からも多くの人が来場。地方都市ではオペラは人口の1%(180人)が入れば成功という中、540席が埋まり大成功となった。「出演者の20%以上が東京からの参加でしたし、私や村上が都内で行っている歌のレッスンの生徒や知り合いがたくさん来てくれました。中には前日から勝浦に来て民宿に泊まり、おいしい地元の魚を食べ、オペラを楽しんで帰っていった人もいました。これはまさしく交流人口の増加であり、地域経済の活性化にもなっていると思います」と栗原さん。
 今年7月17日(月・祝)に勝浦歌劇団第二回公演が決定している。演目はプッチーニ作『トスカ』。1年間で2度の歌劇開催というのは地方都市では初めてのことで勝浦市も力をいれており、カルメンの時には勝浦市の猿田寿男市長が市長の役で参加するサプライズもあった。トスカでも主役はプロが務めるが、劇中に出てくる羊飼いの少年の役は一般公募し、オーディション方式にした。今回、字幕が入る上演となり、より本来のオペラ鑑賞に近いものとなる。「地方都市にいながら一流のソリストに指導を受け、共演できるなんて奇跡のようなことです。指導は厳しいながら楽しく、時には団員や歌劇団を応援する人も加わってBBQやカラオケを行うなど仲良くやっています」と団員。
 来年2月にキュステで『第九』を歌う企画があり、トスカ終了後に新たな団員を募集する。希望者は『ゼロからの第九』という東京都世田谷区と勝浦市の公共施設を利用した25回のカリキュラムに参加することが出来る。これは2つの地域でそれぞれ参加者を募集し、お互いの地域を行き来する事が目的のひとつ。全くの初心者でも第九を歌えるようにゼロからのスタートで、「ゼロからの楽譜の読み方」、「ゼロからのドイツ語の発音」、「ゼロからの音取り」といったカリキュラムが組まれている。指導には国内外で活躍するオペラ歌手があたり、希望者が多いときには抽選となる。まずは目前に迫ったトスカの成功に向け、団員らの練習にも熱が入っており、成果が大いに期待できそう。トスカ上演に関する問い合わせはキュステへ。

TEL 0470・73・1001
問合せ 勝浦歌劇団・栗原大輔さん

TEL 080・3600・9309
e-mail zero.sym9@gmail.com
http://kuriharaminiaturea.wixsite.com/99ri-genga-home/blank-6

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