銭太鼓を操る陽気な仲間

 島根県の伝統芸能として有名な銭太鼓。5円玉を入れた筒を振り、ジャンジャンと景気の良い音を鳴らす手踊りは全国でお祭りやおめでたい席で演じられる。ここ千葉県でも創作鼓蝶流銭太鼓『鼓蝶会』が多くの人を楽しませている。
 家元の藤井鼓蝶こと藤井眞留美さん(63)は島根県出身。「地元では当たり前のように踊っています。でも睦沢町に住み、宴会の余興で披露したら、珍しいから教えてほしいといわれ、数人からはじめました」と笑顔で話す。平成17年に同会を設立。遠くに住む生徒の家の近くで教室を開くうちに、茂原市、市原市、千葉市など家元と指導者4人が稽古に行く教室は21カ所にまで広まった。生徒数約160人。女性がほとんどだが、少数ながら男性も在籍する。
 振付は鼓蝶さんのオリジナル。レパートリーは民謡や歌謡曲からアニメソングまで。曲に合わせ威勢よく筒を繰る姿は、さながら和製バトンガールのよう。「私はできないと言いながら、満面の笑みで堂々と舞台に立つ生徒もいます」
 取材した、むつざわ上市場区民センターでは、毎月第2・4水曜日の13時から16時まで、6年から9年の長いキャリアがあるメンバー7人が集まる。1年半前、鼓蝶さんが各教室からイベントや福祉施設で舞台に立てるメンバーを募り、同センターで練習をするようになった。
 今や茂原七夕まつり、ぐるっと長南花めぐりほか、地域の盆踊りやイベントに引っ張りだこ。福祉施設などを訪問するときには、サランラップの芯に鈴を入れ、毛糸のポンポンをつけ手作りした太鼓を使い、高齢者にも体験してもらう。「最後には涙を流したり、言葉が出なかった方がありがとうと言ってくれたりしたこともあります」。床に座るのが基本だが、イスに座っていても立っていても踊れるので、初めてでも体が不自由でもレベルに合わせチャレンジできる。
 「上手にならなくてもいいのです。家にこもらないで体を動かしてみんなでおしゃべりしてほしい。覚えることで脳が活性化します」と鼓蝶さんは健康体操としても教えている。「普段は自分の身なりも構わず働いている人が、お化粧して舞台に立つうちに表情が段々明るくなることもあります」
 「美人揃いで陽気なメンバー」たちは「本番の家元の司会は舞台にいても聞き惚れます」と明かす。笑いあり、涙ありの司会者ぶりらしい。鼓蝶さんが「司会は時間厳守で終わらせる自信があります」と言うと、誰かが「腹時計があるからね」と笑い合う。「舞台が終ると失敗はすぐ忘れてみんなで食事に出かけます」とささいな事は気にしない。ただし、練習は「お客がたった一人でも踊る気構えです」と真剣そのものだった。

問合せ 藤井鼓蝶さん
TEL 090・2732・1547

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