きれいで美味しいエディブルフラワーと野菜

農 園 タロとアキ

 差し出された黄色い花びらを疑心暗鬼に口に運ぶ。と、意外にも美味しい。ほのかに粘りがあって食べ慣れた風味が口に広がる。聞けば、オクラの花だという。「あまり知られてませんが、オクラの花もナスの花も食べられるんですよ。野菜の花はその野菜の風味がします」
 青木昭子さん(28)が、ご主人の太朗さん(40)と一緒に、いすみ市岬町で営む「農園タロとあき」。化学肥料と農薬を一切使用しないというこだわりを徹底させ、一年を通じ様々な野菜やエディブルフラワーを栽培している。「毎日、変化を見せてくれるのがうれしくて」
 エディブルフラワーとは、無農薬栽培、または花そのものに毒性のない食用に適した花。特別な品種の花というわけではなく、もともと観賞用につくられている花も多く、中には無農薬栽培をすれば食べられる花もある。しかも、野菜のように栄養価の高いものもあり、見て楽しむだけではない良さがある。
 「ジニアの花びらはハート型。サラダに散らせば真っ赤なハートたちがお皿を彩ります。ベビーリーフと同じで日持ちはしないけど、ドライフラワーにすれば大丈夫。焼き菓子に使ったり、ハーブティーにしたり」
 昭子さんは岬町出身。「兼業農家の一人娘でしたが家業を継ぐ気はなくて」高校も普通科に進学。「でも、将来のことを考えた時、OLをやっている自分を想像できなかった。一生、体を動かす仕事がしたいと思って次第に農業に気持ちが傾いていきました」。全寮制の農業大学卒業後、県内の農業生産法人に勤務していた時、太朗さんと出会う。太朗さんは東京出身。脱サラ後、香取市で田んぼを借りてファーマーとしての人生を歩み始めていた。
 そして2年前、太朗さんが青木家の婿養子となって、夫婦ふたりの名前をとった「農園タロとあき」が誕生。今、実家から借り受けた土地を中心に、いすみ市の7カ所のべ約3千坪で、愛情をいっぱい注がれた四季折々の野菜・エディブルフラワーが育てられている。
 「化学肥料と農薬を使用しないことで生き物の豊かな畑にしたい。結果、野菜や花が生き生きと育つ畑になると考えています。確かに、手間が何倍もかかるけれど、野菜って日常的に食べるものだから、それに比例した値段はつけられません。例えばナス1袋400円で買っていただこうとは思わないし。でも、農薬を使わなければ、花も食べられる」
 目下のお得意先は近隣のレストラン。無農薬の野菜やエディブルフラワーはシェフからの引き合いが多いという。「SNSやインスタグラムに食事の写真を載せる方には見栄えが華やかなものが喜ばれるので、エディブルフラワーは今の時代にマッチした食材。花によって、例えば火を通しても色あせないものなど特性が様々なので、フェイスブックでレシピをあげたり、レストランのシェフと直接話したりして、エディブルフラワーの普及に努めています。日本もサクラ、キク、シソなど花を食べる文化はありましたが、欧米はもっと強く、使い方も上手なんです」
 大原漁港の朝市(毎週日曜8~12時)に出店している他、都内の天然酵母のパン屋の店頭で月に1回のマルシェ。また、通信販売もスタート、野菜やエディブルフラワーのブーケも好評を博している。
 ちなみに、子どもの頃の夢が「百姓」だった太朗さんは、別の1200坪で無農薬の稲作を行っており、お米や玄米もちも毎年完売の人気商品となっている。

問合せ 農園タロとあき
TEL 090・7178・1731

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