祝受賞 ミヤコタナゴは僕が守る

 「自然の中で遊んだ子ども時代に見た生き物の美しさをみんなにも知ってもらいたいです。魚は種類によって泳ぎ方も、ヒレの動かし方も違います。その多様性がおもしろくて時間を忘れて熱中してしまいます」と目を輝かせるのは県立茂原樟陽高校緑地計画科の山﨑優大さん(17)。
 『未来へつなぐ、生き物との生活―ヤコタナゴとの共同生活をめざして』のタイトルで第45回毎日農業記録賞高校生部門毎日新聞千葉支局長賞を受賞した。「驚いてすぐに言葉にならなかったけれど、しばらくして実感がわきました。夏休み中に自分の考えを深め、ゆっくり書けました」と嬉しそうに話す。
 自宅は茂原市を流れる阿久川の最上流にある自然豊かな環境。小学6年生までゲーム機を持っておらず、コイ、ゲンゴロウ、ドジョウなどを捕まえ、山や川で遊んだ。「草むらに手を突っ込んでヘビに噛まれそうになったこともありました」。小学高学年のとき、ミヤコタナゴの生態調査を行う専門家から教わるまでは「どこにでもいる魚だと思っていました」
 水のきれいな川で流れの緩い場所に住み、貝に産卵するミヤコタナゴは国の天然記念物。関東地方の固有種でかつては関東全域に見られたが、今では千葉県と栃木県の一部にしか生息していない。「農村の近代化、効率的な河川や圃場整備により生息環境が破壊され、絶滅に瀕しています」
 中学生になると友人と一緒に川のゴミ拾いをはじめ、きれいになった場所を見て、達成感で一杯になった。「遊び感覚というか気軽な気持ちで保護活動をはじめました」。ところが、ゴミを拾うだけでは生物にとって住みよい自然環境を維持することはできないと気づいたという。人間が住むために壊した自然は簡単には元に戻せないし、近年の異常気象のため大雨や台風で水路も変化してしまう。山﨑さんは人の住環境と自然環境の両立を実現したいと強く思うようになったそうだ。
 高校に入り、土木系の勉強をすると、ミヤコタナゴが住める環境を維持するのは至難の業だと知り、絶望的な気持ちになった。しかし教師からは「今できないことでも将来はできるようになるかもしれない。自分が最初にできるようにして開拓者になれ」と言われ、奮い立った。今はまず測量技術や土木などの知識を蓄え、実現を目指し、「まだ基礎の基礎だけど、生物と共存できる家を建ててみたい」と夢を語る。
 「自分ではちゃらんぽらんな性格だと思う」というが、担任の中田滋己教諭は「絵に描いたようなまじめな生徒。責任感が強い」と評する。親に「どんな分野でも専門的に学ぶのは困難を伴うよ」と言われ、「よし、やってやろうじゃないか」と決意する強さがある。生徒会の役員も引き受けている。
 「決めたことはとことんやり、やりすぎて倒れそうになります。自分に与えられた仕事はきっちりとこなさないと気が済まないんです」と笑う。ミヤコタナゴにとっては心強い守り人だ。

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