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大切にしたい 食の豊かさ 伝えたい 食の楽しさ アグリさんむ【山武市】
- 2019/9/20
- 外房版, シティライフ掲載記事
- 外房
山武市で食育に力を入れるボランティア団体『アグリさんむ』。平成18年、4町村合併の際に成東、松尾、蓮沼の旧町村の食育グループが統合、3つの支部として活動している。平成24年度には、山武市内の小中学校で行う太巻き寿司の出前授業などが評価され、内閣府が主催する『食育ボランティア表彰』を受けた。「アグリさんむには根強いファンがいて、地域に一目置かれる存在です。広報に講習の告知が載ると、電話が鳴りやまないこともあります。支部にはそれぞれ特色があり、中華まんや味噌づくりも人気が高いです」と話す山武市農林水産課の高野光樹(たかのみつき)さんは、アグリさんむを事務方として支える。
6月、山武市蓮沼交流センターで蓮沼支部の太巻き寿司講習会が開催された。蓮沼支部は、60代~最高齢90歳の10名で支部長は古川光(ふるかわみつ)さん。前日から買い出し・食材の用意・手順の確認と、準備が始まり、当日は開始時間までに5升の寿司飯を用意した。12名の参加者の間を6名のスタッフが段取りよく動き回る。噛み切りづらい高菜に代えてかんぴょうを食紅で緑色に煮るなど、食材の工夫にも参加者からの質問が絶えない。絵柄はアザミと旧蓮沼村の花ひまわり。クライマックスは出来上がりの絵柄を見る時だ。包丁が入りひまわりの花が現れると、ワァと大きな歓声が上がる。「難しいと思っていた絵柄も、教えていただいたポイントをおさえるときれいにできて、不思議なくらいです」と、不安そうだった参加者の顔もパッと明るくなった。これに対して、「テーブルごとにメンバーがつくので、隣の先生の方がよかったと言われないように頑張っています」とユーモアを交えて答えるメンバー。準備と本番の2日続けてほぼ1日中立ち仕事だが、「スケジュールが決まったら、その日だけはしっかりと空けて、家事もコントロールしてます。何よりも楽しみなので」と、にこやかに話す。
蓮沼支部は小中学校への出前授業に加えて、蓮沼保育園で年に1度のおにぎり教室も行っている。「おかかご飯と混ぜご飯の2種類を、子どもたちがおにぎりにします。この時ばかりは人参嫌いの子も人参が食べられるんですよ」と、子どもたちの姿が目に浮かぶようだ。ある時は、高校生になった元園児に『あの時のおにぎりは本当においしかったです』と言われたという嬉しいエピソードも。また、道の駅で食品の販売も行っており、季節のおこわにフルーツのスムージーやキュウリの一本漬を心待ちにしている人も多い。
年間を通して様々な活動をしている古川さんたちだが、最も大切にしているのが仲間とのコミュニケーションだ。「みんなと会って、言いたいことを言って笑っている。ここは私たちの大切な居場所で、いつも元気をもらって帰ります」と、この笑顔と元気がアグリさんむの味付けとなって、地元で長く愛されているのだろう。