芸術があれば、世界はきっと平和な色で溢れる 画家 中山育美 さん 【市原市】

 今年6月、市原市糸久に自身の作品を常設した『ikuiro gyallery』をオープンしたのは、画家の中山育美さん。「1年半ほど杉並区の西永福にギャラリーを持っていたのですが、この度移転しました。実家の敷地内の倉庫を改装したここを、居心地のいい空間にしていきたいです」と、笑顔を見せる。にっこりとほほ笑むお日様や生命の力強さを感じる植物の緑色。飾られたどの画もひと筆、ひと筆が細かい部分まで丁寧に描かれ、繊細な色づけをされている。

絵は大切な友達だった

 市原市姉崎出身の中山さんが画(え)を描き始めたのは小さい頃。「小児ぜんそくを患っていた私は、夜眠れないほど体調が悪いことも多くて、学校も休みがちでした。洋裁が趣味の母と油絵が趣味の父の影響で、芸術に触れる環境は幼い頃からあった」と言い、体調の良い休日には家族で美術館めぐりをしたり、絵を描きながらキャンプをしたりしたとか。当時からアニメのキャラクターなどではなく、人の表情を描くことを好んだという中山さん。「画家で有名なアンディウォーホルやロックウェル。日本の絵本作家さんだと、いわむらかずおさんの『14匹のねずみ』が大好きだった」と、思い返す。ぜんそくに悩まされながらもお転婆な少女だったようで、「美容師さんごっこで、近所の年下の女の子の髪の毛をばっさり切ったり、人の家の壁に簡単には消えないペンキで絵を描いてしまったことも。両親が謝ってくれました」と、苦笑い。
 その後、学生時代はずっと美術部に所属。生徒会の書記として、パンフレットに絵を描いた時期もあった。部内で自由に描いた絵を展覧会にも出展し、友達や先生にも周知されていたことで、「卒業後の進路は先生に画の勉強をきちんとすることを勧められた」という。都内の美術系専門学校へ進学し、3年間かけて画の基本技術や絵本を作る過程を学んだ。「デジタル化が進んでいる中、私はアナログでひたすら絵を切り貼りしていました。学校には仕事をしながら通っている人や美大の受験に何回も挫折した人など色んな人がいて、彼らと出会えたことも私の中では大きかったです」。
 卒業後、中山さんの就職先は人形町にある人形制作会社のデザイナーだった。ディズニー専属の老舗で、アメリカから送られてきた平面の図面を立体に描き起こし、中国の工場へと回すという仕事を2年ほど行った。「糸や布の繊維でアレルギー症状が出てしまって。退職後は、埼玉県の叔母が保育園を運営していたので、子ども達の世話をしながら、夕方にアトリエ教室をやらせてもらうようになった」と話す、ここが中山さんのスタートラインだったのかもしれない。5人の子ども達で始めた保育園でのアトリエ教室は、今も続き人数が40人ほどに増えている。市原市内の保育園でもカリキュラムを組み年間6回の教室を開催し、長浦の公民館や千葉市内の自宅でも自由に絵を描く大切さを教え続けている。「たった3色でも混ぜるとたくさんの色ができます。一年の最後に自画像を描かせるのですが、大人が驚くほど、子ども達は上手にかきますよ」と、中山さんは楽しそうに話す。

言葉はいらない

 パステルや水彩、アクリルや油絵など様々な手法で描く中山さん。「画を描きたくなくなる時はなかったけれど、上手さの基準が分からなくなり自信を失うことは何度もあった」という。東日本大震災以降、ミュージシャンと共に作品を披露している『ライブペイント』は大好評。アートいちはらでは、内田小学校にて2週に渡り開催し、会場内で大きな感動を巻き起こした。それでも、「思ったよりも時間をかけずに描けてしまった時、本当にお金をもらっていいのかな」と不安を感じるし、「銀座で個展をやった時には、均一セールもやってしまっていた」という。だが、作品を見た人の反応は想像以上に良かった。個展やギャラリー、SNSやライブペイントを通じて新たな仕事や感想が舞い込み、今では「私の画のスタイルで良ければ、喜んで描く」という自信に満ちている。
 今年7月、2週間かけてフランスのパリに画の修業をするため友人の家に滞在した。近所の子どもと言葉は通じず、道具だけで画を教えた。また、ほぼ即興で始めたライブペイントでは、オペラ歌手や地元の民謡グループと共演。道行く人が足を止め、子ども達が自然と話しかけてきたとか。「言葉は通じないのに共感できる空間は刺激的でした」と興奮を見せる中山さんは、「いつか海外でもっとライブペイントをする機会を持てたら。また、子ども達に画を描く楽しさを伝え、表現することを楽しむ空間を作りたいです」と展望を語った。中山さんは12月8日茂原公園で開催の『森のパレード』や、同月20日~22日市原市の内田未来楽校で開催の『うまれる うみだす 芸術生誕祭』で公演予定。他、ライブペイントの依頼など詳細は問合せを。
問合せ:中山さん
TEL.090・4605・7022
https://ikuiro001.stores.jp/

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1.  山武市南部の海沿いに位置する緑海(みどりみ)地区。同地区を流れる木戸川の堤防沿いには、120本のカワヅザクラが植えられている。並木は同地区…
  2.  12月13日(日)、山武市蓮沼交流センターにおいて同センター主催の『米粉いらずのお米蒸しパン教室』が開催された。新型コロナ感染予防のため、…
  3.  里山では紅紫色の花が咲き始める頃である。高さ20~50センチのケシ科キケマン属でムラサキケマン(紫華鬘)。「華鬘」とは仏前にいつも花が飾っ…
  4.  毎年11月から翌年4月くらいまでの、いまだ気温が低いうちに、ハーブをたっぷりと刷り込んだベーコンを数回に分けて作りおきしています。真空パッ…
  5.  菜の花ACはスポーツの普及、振興、強化ならびに健康づくり活動の支援事業を目的に昨年10月設立。千葉県を中心として活動している。同時に陸上競…
  6.  水辺でよく見かけるアオサギ。日本で見られるサギの仲間の中で最も大型で、長い首とスラリとした足が特徴だ。体長95センチ前後、翼を広げると1メ…
  7. 「梅ケ瀬」それは広く知られた紅葉の景勝地、そして市原には珍しい、つららを始めとする氷の渓谷でもある。養老渓谷駅の先を右に回って進み大福山の下…
  8.  森の中での生活に薪ストーブは欠かす事は出来ません。木々に囲まれた生活をする理由の1つには薪で暖を取りたい事も含まれていました。木は二酸化炭…
  9.  2015年に運行を開始したトロッコ列車「房総里山トロッコ」は、土休日を中心に五井~上総牛久~養老渓谷間を走り、開放感あふれる車窓から、春は…
  10.  国の天然記念物で、国際地質科学連合IUGSが国際境界模式地(GSSP)として承認した地磁気逆転地層・チバニアン。市は多くの人が来訪し交流で…

ピックアップ記事

  1.  山武市南部の海沿いに位置する緑海(みどりみ)地区。同地区を流れる木戸川の堤防沿いには、120本のカワヅザクラが植えられている。並木は同地区…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る