ふるさとビジター館 いちはら自然探訪 ツバキキンカクチャワンタケ

 3月の山を歩いていると赤いヤブツバキの花が目立ちます。虫のいない時期ですが、野鳥たちが蜜を目当てに次々と訪れています。椿の花は花びらと雄しべを合着させて、脇から盗蜜できない仕組みになっています。そのため花は丸ごと落ちて土に還っていきますが、そこでツバキキンカクチャワンタケ(椿菌核茶碗茸)の登場です。
 このキノコは花全体を分解し、晩秋に固い菌核(菌糸の塊)を作ります。そして翌年の3月になると落葉をかき分けて菌核から地上に柄が伸び、先端の茶碗から胞子を放出します。そこでまた椿の落ちた花に発生するというシナリオです。
 この茶碗をそっと掘ってみましょう。つながった球根のようなものが菌核で、椿の朽ち果てた組織が入っています。このキノコは落花する椿のために、菌核という形で地面の中でじっと出番を待っているのです。そもそも椿の花は枯葉などよりもかなりの栄養源、それを利用するのも実に賢い!
 公園の椿の下にも出ているのもよく見かけますので、ぜひ探してみてください。茶碗に触れると胞子が飛ぶのが見えますヨ。この世界の生き物たちの不思議な繋がりがきっと感じ取れることでしょう。
(ナチュラリストネット/加藤恵美子)

加藤恵美子ブログ 千葉県の自然見~つけた♪
https://emikocho.blog.fc2.com/

ナチュラリストネット
自然を愛する仲間の集まりです。市原の豊かな自然環境をいつまでも永く残したいと活動しています。TEL.080-5183-9684(野坂)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】2024年4月『みんなとうたコンサート』にて 『南総ラ・ムジカ』は、オペラを愛する市民合唱団。睦沢町中央公民館で…
  2.  9月の森の中を歩いていると、遠目にも鮮やかな朱赤のキノコがありました。近づいてみると地面に白い卵のような壺、黄色いだんだら模様の柄、傘の裏…
  3. 【写真】つなぐ市にて、スタッフやボランティア、出店者の皆さん  ユニークなネーミングの『ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト』…
  4.  市原市根田にある浄土真宗本願寺派西光寺では、毎月『みんなの寺カフェ』が開催されている。副住職の吉弘一秀さんはこの活動について、「毎月様々な…
  5. 【写真】 小出市長と南雲氏の対談  市原市は、2026年からの新たな総合計画を策定するため、市民との対話をスタートしました…
  6. 【写真】撮影:影山惠子  来月9月23日から、ちはら台フォトクラブの創立10周年記念写真展が開催されます。同クラブは月1回…
  7.  動物たちを飼うには、彼らが生涯、安心して暮らせる環境が求められています。捨てられて保健所に捕獲されたり、個人の多頭飼育崩壊などで持ち込まれ…
  8.  国道297号線(大多喜街道)を牛久から大多喜方面に下って行き、米原ゴルフ倶楽部の先の右側の小高い丘の上、田圃にかかしが居ます。周りにロープ…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】つなぐ市にて、スタッフやボランティア、出店者の皆さん  ユニークなネーミングの『ほぼ道の駅ちょうなんプロジェクト』…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る