「百人一首扇面作品展」で雅な体験を ~かな書道・いずみの会~【茂原市】

「書は人の生き方に通じます。山があり谷があり、ピークはどこ、四季の移ろいは、といつも言うんです」と穏やかな笑顔で語るのは、かな書道講師の野々山春泉(しゅんせん)さん。現在、茂原市鶴枝公民館のロビーに展示されているのは、扇形に切り取った料紙(仮名書き用に加工された和紙)に百人一首の散らし書きをした21作品。作成したのは「いずみの会」の会員9名。うっすらと模様の浮き出ているものや、色のぼかしのあるもの、細かい金銀の箔を散らしたものなど、それぞれが選んだ美しい料紙に、流れるような筆遣いである。
「普通の縦長の半懐紙に書くのとは違って、扇面作品は扇子の要にあたる部分に向かって書くので難しいんです。選んだ用紙によってもいろんな表情があります。墨の色、かすれ、行の揺れ、全部違いますからね。そして余白が大事」と野々山さん。美しい用紙と連綿(数文字をつなげて書く筆致)の筆遣い、余白に映える赤い落款(らっかん)印。すべてが相まって高い芸術性を感じさせる。草書や、百人一首に詳しくない人でも、目に飛び込んでくる絵画のような扇面作品から、雅な平安に思いを馳せることができるだろう。作品は昨年1年間かけて仕上げたもので、昨年秋の文化祭に出展する予定だったが、新型コロナの影響で中止となり、今回展示の運びとなった。
「いずみの会」は平成6年に公民館主催の講座として始まり、平成14年からは自主サークルになり今に至る歴史のある会。昨年度の扇面作品に続き、今年度は、短冊状の用紙に書いた百人一首を、折帖(山折り谷折りで畳んでいく装幀の台紙)に貼る作品作りに励んでいる。これまでの集大成とのこと。

添削する野々山さん(左)

 ふだんの練習日には、野々山さんが「ここは字が揃っているから少しずらしましょう」「ここはバランス的に行間を広くしたいから…」などとメンバーの作品を添削し、朱を入れるのだが、一つの平仮名に数十通りもある変体仮名のどれを使うか、言われてすぐに理解できるほど会員のレベルは高い。「『道』とつくものは大変ですよ。書道でも華道でも。一歩ずつ学んで長い歴史があってここまできました。かなの美しい表現を目指して、みなさん、よく付いてきてくれました」と目を細める野々山さん。「書いていると落ち着くし、趣味があるっていいですよ」と高石きよ子さん。練習の後もわいわい和やかな雰囲気で、「コロナ禍で食事会もできなくなりましたけど、みな仲がいいんですよ」と会長の小林侊香さんは笑う。40代から80代まで幅広い会員がいるが、みな年齢より若々しい。伝統の書は、それぞれの人生に輝きを添えている。

・いずみの会
第2・4(水)10~12時 茂原市鶴枝公民館
問合せ:小林さん Tel.090・4713・8279

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1.  5月26日(日)、市原市市民会館の大ホールで『第17回 シニアアンサンブル全国大会 創立25周年記念』が開催される。主催はNPO法人全日本…
  2. 【写真】メインビジュアルデザイン:岡﨑 真理⼦(REFLECTA, Inc.)  千葉県誕⽣150周年記念事業の⼀環と…
  3.  初夏のこの時期、夕暮れから夜にかけて「ホッホウ、ホッホウ」と繰り返す声を耳にすることがある。アオバズクの鳴き声だ。木の樹洞を巣にするので、…
  4.  移住者の視点で、いすみ市と周辺の魅力的な場所をまとめたガイドブック『田舎歩き方・ 暮らし方♯1 千葉県いすみ市とその周辺2024』が4月2…
  5.  ティラノサウルス、トリケラトプス親子、ベロキラプトルなど、紀元前3000年前に存在した巨大な恐竜たちが千葉港に大集結。  リアルな恐竜ロ…
  6.  文学を愛する仲間たちが発刊する文学同人誌『槇』。46年前の1977年(昭和52年)に設立された『槇の会』が発行している。  同会は、『雪…
  7. 【写真】アブドゥルラーマン・アブダラ『最後の3人』(平三)  千葉県誕生150周年記念事業『百年後芸術祭~環境と欲望~内房…
  8.  市原湖畔美術館では、百年後芸術祭|内房総アートフェス|の一環として『ICHIHARA×ART×CONNECTIONS|交差する世界とわたし…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  5月26日(日)、市原市市民会館の大ホールで『第17回 シニアアンサンブル全国大会 創立25周年記念』が開催される。主催はNPO法人全日本…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る