移動販売車ピース号が行く!高齢者に買い物支援を【茂原市】

いつものにぎやかな音楽が聴こえると、それは移動販売車ピース号が来た合図。食品や日用品などを乗せて、週に1度、決まった場所へ決まった時間にやって来る。「今日は何を買おう」と楽しみに集まる常連客も多い。茂原市内でピース号の移動販売を開始したのは今年の6月だ。市の『生活支援コーディネーター』が地域支援の一環として、買い物に困っている地域の人々と移動販売の橋渡しを行った。

地域の声をすくいあげて

 茂原市にある4つの『地域包括支援センター』は、市の委託を受け地域で暮らす高齢者を様々な面から総合的に支えている。センターに在籍する『生活支援コーディネーター』は地域に埋もれた課題を掘り起こし、民生委員などと協力して対処法を探す。『茂原市ほんのう地域包括支援センター』の生活支援コーディネーター・野方哲也さんは、「高齢者の困りごととして、『買い物』が1つのテーマとして浮かび上がりました」と説明する。食品宅配式の業者を利用する人も多いが、高齢者には注文が難しい側面もある。「そこで目を付けたのが移動販売でした」と野方さん。
 2020年秋、『移動販売協議体』を開催し『買い物支援』のネットワークづくりを検討し始めた。隣接する長柄町の委託で今年から移動販売を開始した株式会社ピースの移動販売が、戸別販売にも対応していることが地域のニーズに合っていた。販売車までの歩行が困難な場合や、水など重い物を持ち帰らなければならないケースにも対応できるからだ。『茂原市ちゅうおう地域包括支援センター』の生活支援コーディネーター・讓原万枝さんは、「コロナ禍で高齢者の認知症進行が問題になっています。認知機能を保つために自分で品物を選んでお金を払うことが一番大切です」と話す。長引くコロナ禍で多くの集いの場が失われる中、移動販売所が新たなコミュニティになることも期待されている。

ふれあいの場所を作りたい

(後列左から)野方さん、小関さん、山田さん(ちゅうおう地域包括支援センター長)(前列左から)倉持さん、讓原さん

 株式会社ピース代表取締役の倉持二美子さんは、自動車教習所の教官をしていた4年前、父親の介護を機に退職し福祉タクシーを開業した。教官時代に高齢者教習が年々増加する現実を見ていたこともあり、「足のない人の足になりたい」との思いがあってのことだった。利用者の病院や買い物への送迎をするうちに、「人と人が顔を合わせることが大切」と痛感する。コロナ禍で買い物にも行きにくい状況の中、移動スーパーを思い立った。折よく長柄町で移動販売の募集があり、ピース号が走り始めたのが今年1月のこと。茂原市内では6月に2か所の拠点でスタートした。現在月曜日~金曜日に平均で1日に12ケ所での販売と8戸の戸別訪問を行っている。
 販売車が訪れるのは希望する自治会などが提供する公園や集会所。当初から場所を提供している市内北塚のデイサービス『今日まる。』の代表・小関さんは、「デイサービスの利用者さんがリハビリも兼ねて買い物できるようにと考えています。地域の方々にも利用していただきたい」と話す。

細かい要望にも対応

ピースの佐藤さん(左)、倉持さん

 ピース号に乗車し販売を担当するのは佐藤優真さん。営業開始後しばらくは利用客も売り上げも少ない日があり、「何を変えたらいいだろう?どんなものが欲しいのだろう?」と倉持さんと話し合いながら試行錯誤を重ねた。仕入れの時間を節約するため事務所に業務用冷蔵庫を完備し、品揃えについては煮物や揚げ物などの総菜・弁当を充実させた。品物はほかにも野菜・果物・乳製品・パン・日用雑貨と様々。肉や魚、米や箱売りの水などは注文制となっている。「決まったメーカーの納豆が欲しい」という細かい注文も受け付ける。竹ぼうきを届けたこともあった。
 毎週木曜日、市内押日ランド第1公園で買い物をする松隈麻禧重さんは、「コロナ禍に家の近くまで来ていただき有難いです。高齢者にとって身近な悩みや喜びの聞き手にもなっていただけたら嬉しいです」とコミュニケーションの場として大切に感じている気持ちを滲ませる。押日ランド自治会長の白土さんは、「回覧板で周知していますが、本当に必要な人にまだ伝わっていないという気がします。1人暮らしも増えていく中、地域全体でしっかりと関わっていきたい」と語る。佐藤さんは、「利用者さんの『助かる』という声を聴くと、やっていてよかったと思います。お客さんと話している時が一番楽しいです」と、移動販売の仕事に確かなやりがいを感じている。
 ピースは今後、販売網を茂原市及び長生郡全域に拡大することを展望している。移動販売・戸別販売ともに、高齢者だけでなく誰でも利用可能。詳しくは問合せを。

問合せ:株式会社ピース 定休日:土曜、日曜、祝祭日
TEL.0475-38-4950

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