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季節のスケッチ
- 2014/10/17
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俳画と文 松下佳紀
人生は芝居、人は役者とは先人の言葉だが、それは人の一生が芝居のように波瀾に富んだものだからだ。百人に百の人生があるようにその舞台は多様で興味深い。一幕では足りない派手な役者も、一幕で充分と言う地味な役者も名優であることは確かだ▼人生は悲劇とも喜劇とも言う。両方正しいが、どちらかといえば悲劇のほうが目立つ。人生は重荷を負って歩むようだとの別人の言葉も、やはり人生は悲劇的色合いが濃いことを証明する▼とはいえ私は人生を悲観しているのではない。人生には生きる喜びや楽しみが無数にあるのだから。ただ私が常々人生を思う時、その舞台に、どこか哀感をおびた秋風が音もなく吹きぬけるような気がしてならないのである。