明日の農業担う若手女性農業者「次世代ヒロイン」『いいやんばい』

 千葉県は農業産出額が全国3位を誇る農業県。しかし、農業従事者の高齢化や減少が進み、特に39歳以下の女性農業就業人口は2557人(2010年)と非常に少なく、女性農業従事者全体の5%で10年前と比較すると約3分の1という状況である。
 今後の農業振興や地域の活性化を図る上で、女性農業従事者の活躍は大切で、将来の農業・農村の担い手である若手女性農業従事者の育成が課題となっている。そこで県は、平成18年度から農村女性起業家レベルアップ推進事業や農村いきいきパートナーシップ農業推進事業に、若手女性農業者の農業経営への参画促進と組織化を位置づけて、県単女性対策事業として県内10カ所にある農林振興センター(現・農業事務所)で、「次世代ヒロイン研修会」や託児支援、子育てサポートと、次代を担う女性農業者の育成を図ってきた。そして、現在では14の女性グループが結成され、農業経営や地域社会への参画を目指した活動に取り組んでいる。
 また、平成19年度からは各振興センター(現・農業事務所)で40歳未満(地域によっては45歳未満)の女性農業従事者を対象に、「農業や暮らしに関する基本的な知識・技術の習得と仲間づくり」を目的に、年に3~5回で2~3年を1サイクルとして、次世代ヒロインセミナーを開催。セミナー終了時には積極的に組織活動への啓発を図る一方、セミナー生からも活動の継続を希望する声が上がり、組織の発足や運営等の支援を行っている。
 このセミナー「次世代ヒロイン研修会」を受講後、4年前にセミナー生13人が活動を継続しようと『いいやんばい』を立ち上げた。現在は市原市を中心に農業に従事する女性たち16人が会員だ。『いいやんばい』とは、関東地方の方言で、時候の挨拶「いい塩梅(いい天気)」が訛ったもの。
 今回、お話を聞かせてくれたのは、同会の古川静香さん、大野千穂子さん、杉山亜紀さん、鶴岡真紀さん、藤田佳世さんの5人。会を発足した理由について、「メンバーは20代から40代で、8割が育児をしながら農業に従事している。周囲に自分と同じように農業をやっているママ友は少ないか、または全くいないから、会の皆と会って話すのが楽しい。同じ農業という仕事に就いているからこそ分かり合えることが多い。仕事や育児の情報交換の場であると同時に、愚痴を言い合ったり共感し合ったりして、ストレス解消できる息抜きの場でもある」と笑顔で口を揃える。
 会の運営は会長(年度ごとに交代)と連絡係の2人が務め、主に連絡はメールがメイン。これまで4年間の活動は、地元のイベント『いちはら いーでん いーでん収穫まつり』はじめ、農林業まつりや園芸まつりに出店し市原の農産物をPRしながら販売するなどしてきた。JA出荷時に他の商品との差別化をと、オリジナルの箱を作るなどの個々に工夫をする会員もいる。「私たちの世代の女性ならではのアイディアを考案し実践していきたい」と話す。
 皆さんが取り扱っている生産物は、市原特産の梨やイチジク、ダイコンからミカンやメロン、スイカ、ブルーベリー、観葉植物や花苗、野菜苗など様々。メディアに取り上げられ、他地域で店構えから真似されるほど有名になったジャムを作る会員や、酪農家の会員もいる。他、地元産品を活かした餅やあられ、洋菓子や惣菜なども手がけている。
 終始、明るく朗らかに農業について語る皆さんだが、何の仕事でも大変さはつきもの。そのあたりのことを尋ねてみると、「う~ん、なんだろう?」と考え込み、「天候に左右される仕事。でも、それは仕方がないことだし。あと、収穫期はすごく忙しく、GWやお盆、年末年始に子どもを連れてのお出かけができないことぐらいかな。でも、子どもも幼い頃から私たちの姿を見て育っているから、子どもなりに理解してくれているようです」とのこと。ところが、農業の魅力について聞いたところ、「大地から作りだすこと」、「親が同居してたり敷地内または近くに住んでいるという会員が多く、育児のサポートしてもらえたり、畑や近所には人の目が多く、安心して子どもを遊ばせていられる。子育てしやすい環境」、「形が悪くて出荷や販売しない美味しい野菜をいっぱい食べられる」等々、即座にたくさんの答えが返ってきた。
 最後に、読者の皆さんにメッセージを。まずは全員が「是非、地元産の野菜や果物を召し上がってください。JAの直売所、道の駅あずの里、房の駅、アリオの地産地消コーナーでも取り扱っています」。更に、これから旬を迎える市原特産品の梨とイチジクについては、「幸水は、お盆の頃、その他にも色々な品種を10月頃まで販売しています(藤田)」、「姉崎のブランドイチジクは、皇室献上品。ちばエコ農産物に認証された安心して食べられるもの。お盆頃から11月頃までが食べ頃。直売所で販売するものは、すぐに美味しく食べられるイチジクを用意しています(古川)」、「直売所でお待ちしております(大野)」、「栽培から加工まで手作りの、自家農園産の果物で作る無添加ジャムです(杉山)」と会を代表して元気良くPRしてくれた。農業という同じ職業で同世代の女性の繋がりから連帯感が生まれ、女性農業従事者としての更なる意識の向上とスキルアップに繋がることだろう。

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