模写で画家の作品世界を感じとる

 南総公民館で昨年も行われ、好評だった絵画鑑賞講座。絵画の模写をし、美術館で本物を見る全4回の日程で、今年も9月下旬から10月中旬に行われた。今回鑑賞する美術展は、上野の東京都美術館で開催中のモネ展。長年、美術教師を勤め、現在は銅版画制作や絵画教室の指導をする講師の古滝正治さんは、「美術館での絵画鑑賞は、感性を育てるのに重要。ぜひ本物ならではの美しさ、迫力にふれ、様々なことを感じてほしい」と話す。
 取材した日は、美術館で展示されている作品の模写の初回。モネの『印象・日の出』『日傘の女』などカラープリントした20点から、参加者が好きな作品を選び、その絵に合った地色をキャンバス全体に塗る。次に絵の大まかな構図をトレーシングペーパーになぞったら、絵の具が乾いたキャンバスに、カーボンを使って転写する。「欧州の有名美術館では、美術学生などが本物の絵画の前で模写する姿が普通に見られます。模写で技法等を学ぶんですね。今回の講座ではそっくりに描く必要がなく、自分で絵を解釈し、感じた色や形を表現する。まったく違う色を使ってもかまいません。画家の色づかいや工夫した点などを、鑑賞者が主体的に味わおうとするものです。その上で本物を見ると、非常に奥深い鑑賞ができます」と古滝さん。
 キャンバス全体におく地色は、絵に深みを出す効果がある。この色を部分によって生かしつつ、濃い・暗い色から淡い色へと順に乗せていけば、絵に奥行きや広がりが生まれる。「皆さんと一緒に描くと、勉強になります」「一生懸命写し取って、色を考える時間が楽しいですね」とそれぞれのペースで作業を進める参加者たち。古滝さんは「絵が仕上がったら額縁選びの学習をします。ぜひ自宅に飾って楽しみましょう」と勧めた。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】お店の前で。『十五や』のTシャツを着た藤本さん(後列中央)と田頭さん(右隣)  緑豊かな市原市東国吉で、県道21号…
  2. 【写真】本祭の武者行列で本田忠勝に扮する渡辺正行さん  第50回大多喜お城まつりが10/12(土)・10/13(日)の2日…
  3.  市原市では、現在「文化交流施設整備基本構想」の検討が進められており、この構想について市民の皆さんと一緒に考える「文化交流施設シンポジウム」…
  4.  親子で楽しめる『マミーズマルシェ・ハロウィンパーティー』が10月14日(祝)、夢ホールで開催される。主催は『マミーズハンドメイド』、子育て…
  5.  市原市、君津市、大多喜町が連携したスタンプラリーが8月26日(月)から12月15日(日)まで開催中です。久留里線、小湊鉄道、いすみ鉄道のロ…
  6.  マザー牧場では、9月1日(土)から11月30日(土)までの3カ月間、芸術の秋を楽しむイベント『第23回秋のこども写生大会』を開催中です。 …
  7.  先日、実家の父が他界しました。厳格な昭和の父から厳しく育てられた私は、中学生の頃、家を飛び出したこともありました。そんな父のお陰で、私たち…
  8. 【写真】2024年4月『みんなとうたコンサート』にて 『南総ラ・ムジカ』は、オペラを愛する市民合唱団。睦沢町中央公民館で…
  9.  動物たちを飼うには、彼らが生涯、安心して暮らせる環境が求められています。捨てられて保健所に捕獲されたり、個人の多頭飼育崩壊などで持ち込まれ…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】お店の前で。『十五や』のTシャツを着た藤本さん(後列中央)と田頭さん(右隣)  緑豊かな市原市東国吉で、県道21号…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る