人間との共生を画策する!?ツバメ

 皆さんの近所で繁殖し、盛んに飛び交っていたツバメですが、8月に入って目に付かなくなってしまいましたね?一般的に、8月下旬以降、南国東南アジア方面に移動すると言われています。では、繁殖が終わったこの時期、どこにいるのでしょうか?
 昼間は、数羽単位で水田、湖、草原の上など開けた場所で、渡りに備えて、エサ取り飛翔をしています。しかしながら夜になると、河口などのアシ原に集まって、いわゆるネグラを形成します。分散しているはずのツバメが何千、何万という数で集まるのです。市原近郊では養老川河口がネグラになることが多いようです。
 一般的に、ネグラと言うと駅前の街路樹に、ムクドリやスズメが集まったりすることが知られています。特に数千、数万の駅前のムクドリの集団は、鳴き声による騒音と糞害で、人間に不快感だけでなくヒッチコックの映画「鳥」のように恐怖感さえ与えます。
 一方、ツバメも集団でネグラを形成するのですが、民家や住宅地からやや離れた、人間が行きにくく、気が付きにくい河口などということで、ほとんど人間に不快感や恐怖感を与えません。繁殖後は目立ず、人間に迷惑をかけない野鳥になっています。
 ご存知のとおりツバメは3月下旬頃、南国から渡ってきて、日本で繁殖を行います。電線に止まり、「土食って、虫食って、渋~い」と例えられるように鳴き、忙しく飛び交い、人間の目の前で泥を主材にあっという間に巣を作り上げ、営巣します。ひと夏に2回から3回、抱卵・育雛を行うため、長い期間、人間から丸見えです。カラスなどの天敵から身を守るため人間を利用しているとわかっていても、その丸見えの繁殖行動は、ドラマチックであり、人間の心を優しくさせてくれます。
 極めつけは、巣立ちです。ツバメの家族が電線に勢ぞろいして、営巣場所の周りを何回か飛び回り、なごり惜しそうに離れていく行動は、礼儀正しさすら感じます。ツバメが営巣する家には幸福が訪れると言われるのは、そうしたツバメの行動によるものなのでしょう。人間を利用するだけでなく、人間を味方に巻き込む術もDNAに組み込まれているのかもしれません。
 この時期、夜は集団で安全を図りつつ、日中は一生懸命虫を食べて、東南アジアまでの数千キロを渡るための体力をつけています。飛んでいる姿やネグラに集まるツバメを見つけたら、「来年も来いよ!」と声をかけてあげましょう。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 3月25日、茂原市国府関の茂原街道沿いにフットサルコートを併設したサービス付き高齢者向け住宅『ファミリークラブあかね雲』がオープンした。フッ…
  2.  八千代市大和田新田にある京成バラ園では、6月13日(日)まで春のシーズンイベント『スプリングフェスティバル It's so in Bloo…
  3.  新型コロナウイルスのパンデミックのなか、2020年6月15日にスタートしたインスタグラム・プロジェクト「Artists' Breath」(…
  4. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…
  5. 世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、アフリカの状況はどうなっているのでしょうか? ルワンダの首都キガリで幼稚園と小学校を設立し、…
  6.  山武市と東金市の境に位置する『成東・東金食虫植物群落』。大正9年(1920年)に日本で初の国天然記念物の1つとして指定され、昨年100年を…
  7.  睦沢町の田園風景のなかに建つ、ギャラリー801。様々な分野の作家が作品を出している常設展と、毎月3週間ほど開催される企画展を行っている。今…
  8.  3月20日(土)から4月5日(月)、及び4月17日(土)から5月16日(日)の2期間にかけて、千葉市中央区にある千葉市科学館では『ポップア…
  9. [caption id="attachment_38464" align="alignright" width="350"] 作業小屋兼ギャ…
  10.  3月の山を歩いていると赤いヤブツバキの花が目立ちます。虫のいない時期ですが、野鳥たちが蜜を目当てに次々と訪れています。椿の花は花びらと雄し…

ピックアップ記事

  1. 3月25日、茂原市国府関の茂原街道沿いにフットサルコートを併設したサービス付き高齢者向け住宅『ファミリークラブあかね雲』がオープンした。フッ…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る