さぁ、みんなで手を取り合って一歩を踏み出して

 9月10日(日)、上総更級公園で開催された『RUN伴(らんとも)2017』に約230人が参加した。『RUN伴』とは認知症の人や家族、支援者や一般の人が一丸となってタスキをつなぐリレーのこと。「現在、全国各地で開催されているRUN伴の参加者は約1万5千人を超えています。千葉県内でも千葉市や船橋市、旭市や我孫子市など多地域に渡っていますが、参加者は市原市が一番多いですね」と話すのは、市内特別養護老人ホームの施設長である福田卓美さん。
 開催に向けて今年5月から活動し、病院や老人ホーム施設とのつながりに尽力した。「準備期間が短かったこと、道路交通法などの観点から通常のRUN伴で行われている地域を走りながらのタスキリレーは叶いませんでした。来年、八幡宿から加茂まで抜けるようなコースで実現できたら」と、希望を膨らませた。認知症の人が、近年増加傾向であるのは周知の事実である。その中で、いかに地域がサポートし、安心した暮らしを作れるのか。厚生労働省がかかげる認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の主な政策、認知症サポーターは全国で1万5千人。RUN伴はその延長線上にあるといえる。オレンジのTシャツ、タオル、帽子を身に付けた人々で公園内が鮮やかに彩られた。
 RUN伴の参加者は認知症の人と施設関係者が8割。「残り2割が地域住民の方など一般の参加です。今年春に、YOUホールで認知症の人のためのフェアが行われました。でも、それはインドアで来場者は患者さんや家族。こうしたイベントで交流を持ち、今まで関わりのなかった人達の意識が少しでも動いてくれることが大切だと思います」と話すのは、市原鶴岡病院で作業療法士を務める木村美咲さん。
 1、3、5キロのコースに分かれ、腕にそれぞれ色のテープをくくる。スタートと共に勢いよく走りだす子どもや、車椅子を押してくれる職員と冗談をかけあいながら笑う女性。地域住民であり福祉施設で働くという女性は、自身の子ども達や知り合いの保育士と参加。「子ども達にも良い経験になったと思います。小2の娘が3キロ走ったので驚きました」と満足そうに話した。
 「参加者のミッションは、無理をしないで楽しむこと。夢中になるあまり、他の人とぶつかって怪我をしなければ充分です。天気も快晴、大成功だったのではないでしょうか」と、市原市認知症対策連絡協議会会長の小沢義典さんも笑顔を見せた。

問合せ 福田さん
TEL 090・1112・8638

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