季節のスケッチ

俳画と文 松下佳紀

ちょっと家を出れば田畑の広がるいつもの散歩道。平凡な田舎の風景であるが、正月ともなると全ての物が目出度くも厳かな雰囲気を漂わせる▼すでに中天の日輪。初空はどこまでも青く深い。思わず私は深呼吸をする。田んぼから舞い上がる雀たち。畦道をのこのこ歩く鳥。上空には鳶がゆったり輪を描く▼あっ飛行機だ。羽ばたかぬ翼、人工の巨大な鳥がはるか天空を滑って行く。何百人もの旅人を乗せて。機内では飲食も読書も映画も楽しめる。科学技術の発展は素晴らしく、この日常に我々は少しも驚かない▼しかし優れた知恵や技術を備えた人類が格差や貧困や飢餓、とりわけ戦争を無くすことが出来ないのは何故なのか。私の疑問はいつもそこに至る。

●松下佳紀
 昭和15年市川市生。東洋美術夜間グラフィックデザイン科卒。昭和39年新宿画廊で第1回個展。6カ月間の自転車日本1周スケッチ旅行の後、各地で個展、2人展、グループ展などを開催。イラストレーション、子どもの絵本、オリジナル俳画、陶芸などを手がける画家。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  移住者の視点で、いすみ市と周辺の魅力的な場所をまとめたガイドブック『田舎歩き方・ 暮らし方♯1 千葉県いすみ市とその周辺2024』が4月2…
  2.  ティラノサウルス、トリケラトプス親子、ベロキラプトルなど、紀元前3000年前に存在した巨大な恐竜たちが千葉港に大集結。  リアルな恐竜ロ…
  3.  文学を愛する仲間たちが発刊する文学同人誌『槇』。46年前の1977年(昭和52年)に設立された『槇の会』が発行している。  同会は、『雪…
  4. 【写真】アブドゥルラーマン・アブダラ『最後の3人』(平三)  千葉県誕生150周年記念事業『百年後芸術祭~環境と欲望~内房…
  5.  市原湖畔美術館では、百年後芸術祭|内房総アートフェス|の一環として『ICHIHARA×ART×CONNECTIONS|交差する世界とわたし…
  6.  千葉県南房総市にある酪農のさとは日本酪農発祥の地で、江戸時代に八代将軍・徳川吉宗がインド産の白牛を飼育して、乳製品を作ったことで知られてい…
  7.  森や川に生息する動植物などを観察し、親子で自然を楽しみましょう!4月27日(土)、9月7日(土)、11月9日(土)の全3回に渡って行い、講…
  8.  いつの間にか春も盛り。寒いうちに庭木に寒肥(肥料)を与えておこうと思ったのに遅くなってしまいました。寒い時は庭仕事がどうしても億劫になって…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】アブドゥルラーマン・アブダラ『最後の3人』(平三)  千葉県誕生150周年記念事業『百年後芸術祭~環境と欲望~内房…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る