季節のスケッチ

俳画と文 松下佳紀

ちょっと家を出れば田畑の広がるいつもの散歩道。平凡な田舎の風景であるが、正月ともなると全ての物が目出度くも厳かな雰囲気を漂わせる▼すでに中天の日輪。初空はどこまでも青く深い。思わず私は深呼吸をする。田んぼから舞い上がる雀たち。畦道をのこのこ歩く鳥。上空には鳶がゆったり輪を描く▼あっ飛行機だ。羽ばたかぬ翼、人工の巨大な鳥がはるか天空を滑って行く。何百人もの旅人を乗せて。機内では飲食も読書も映画も楽しめる。科学技術の発展は素晴らしく、この日常に我々は少しも驚かない▼しかし優れた知恵や技術を備えた人類が格差や貧困や飢餓、とりわけ戦争を無くすことが出来ないのは何故なのか。私の疑問はいつもそこに至る。

●松下佳紀
 昭和15年市川市生。東洋美術夜間グラフィックデザイン科卒。昭和39年新宿画廊で第1回個展。6カ月間の自転車日本1周スケッチ旅行の後、各地で個展、2人展、グループ展などを開催。イラストレーション、子どもの絵本、オリジナル俳画、陶芸などを手がける画家。

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