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北の大地に思いを馳せて描く
- 2018/2/2
- 市原版, シティライフ掲載記事
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1月5日から31日まで、市原市国分寺台中央にあるいちはら市民ネットワーク内アートギャラリーで開催された西島隆史さん(75)による油彩スケッチ展『ロシアから』。昨年6月に旅行したロシアで、実際に目にした風景にイメージを膨らませて描いた作品は7点ほど。そのうち5点をギャラリーに展示した。
「描き始めたのは30代を過ぎてからです。初めは通信教育の独学で学んだり、絵画のグループ会に参加してアドバイスをもらったりしていました。ここまで続いたのは単純に描くことが好きだったから」と話す西島さん。最近は風景を描くことが多いが、かつては人物や静物を手掛けたことも。
石油関連の仕事に就き、71歳まで現役で勤めていた。シンガポールに5年、サウジアラビアに6年と海外赴任生活も長かったので、絵を描くことは貴重な趣味だった。「現地の人とは仕事の関わりがほとんど。日本人の友達と食事やゴルフもするけれど、それでも時間がたっぷりあるんです。読書するか絵を描くかでしたね」と、振り返る。休日のみ描く日曜画家だったが、退職後は毎日キャンパスに触れるようになった。
今まで一水会展、示現会展や東光展、千葉県展の入選、新居浜市展や市原市展での入賞経験があり、「賞が目的ではありませんが、自身の励みにもなりますので今後も挑戦していきたい」と意気込んだ。『ロシアから』に飾られた5枚は、『赤の広場』や『サンクトペテルブルグ運河』など有名な観光地のもの。ラフなタッチで描かれたキャンパスは、色鮮やかな緑から、水音が聞こえそうなほど躍動感が浮かぶ水辺まで様々だ。『水』を描くことが好きな西島さんだが、「色など自分の工夫した部分を人に褒められた時に一番喜びを感じます。
ただ百枚以上を描いてきて、だんだん美しいだけの絵では満足できなくなっています。そして、誰かの意見も欲しくなる。今では妻が、ちょっと辛口でアドバイスしてくれるんです」と笑顔を見せた。だが、結局は自分が納得しなければ満足できない。そのために描いて、描いて、描き続けている。これまでヨーロッパや東南アジアなど多くの土地を訪れてきた。見た風景を、帰宅後に思い起こして描くことは、再度記憶に焼きつけるようで面白い。
「今度は中世のヨーロッパだけど田舎の風景を残す、バルト三国に行ってみたい」という旅への思いの他、「風景だけでなく、人が人生として積み上げたものを表現していけたら。難しいんですけどね。それに、大きな作品にどんどん挑戦していきたいです」と話題は尽きなかった。