相撲甚句を歌えば、いつだって心が躍る

京葉相撲甚句会 会長 水野六夫さん

 茂原市在住の水野六夫さん(76)が相撲甚句を始めて10年が経つ。茂原市では3年前から『錣山部屋ふれあい相撲』が行われ、多数の力士が訪れて迫力ある公開稽古が披露されたり、ちゃんこ鍋が振舞われたりと交流が図られている。そんな傾向を機に、水野さんは茂原市に『相撲甚句会』を立ち上げたいと考案中だ。
 「私が相撲甚句を始めたきっかけは、『シティライフ』に房州相撲甚句会の記事が掲載されたことです。元々民謡を聞くことは好きだけれど、歌をうたうことが苦手だったんです。でも、相撲甚句はリズムも一本調子だし、私でもできるかなと思って入会してみました」と話す。 
 また、50年前結婚を機に都内から茂原市へ引っ越してきて、妻の実家の家業である金物店を継いだ水野さんだが、出身は信州の諏訪郡富士見町。そこではお祭りの時にうたう唄がある。「相撲甚句の音の響きや流れが、その唄に似ていて懐かしい気持ちになった」ことも、魅力のひとつだったとか。 青空の下、桜の木で自作した拍子木を手に、気持ち良さそうに相撲甚句を歌いあげる。拍子木は商品のように形が整い、色つやが光っている。カンカンと庭に響く音も小気味いい。都内の印刷会社で働いていた時や、趣味でやっていた木で彫った家紋作りの時も役立ったのは手先の器用さだった。「拍子木を私が作って、仲間内に配った時もありました」という優しさをもつ水野さん。
 相撲甚句とは江戸時代を起源とされ、力士の間で歌い継がれているもの。現在は地方巡業時や、両国国技館で力士の引退の際などに聞くことができる。「力士が土俵上で、5、6人で輪になり、そのうちの1人が歌うと哀愁もあって圧巻です。若い頃からの稽古の辛さが滲みでるんですよ」と感慨深げに話す。
 相撲甚句には地方の名所や、横綱の名勝負をうたったものが主にある。だが、最近では結婚式やイベントでユーモアをもった甚句が歌われることもあるとか。実際、水野さんも友人が賞を受賞した時には自らが作詞をし、200人ほどの前で披露した機会もあった。「相撲甚句にはまくら唄、本唄、はやしと流れがあり、歌いだしは何年やっても難しいです。伴奏があれば幾分ごまかせるんでしょうが、手拍子と合いの手のみ。決まったリズムはなく単純だからこそ、自分の力が試されるんです」と、笑う水野さん。
 今では家業の金物店は閉めたものの、昔に販売した刃物を研いでほしいと持ち込まれることが多い。そのため庭先に小さな小屋を建てて、作業場として使っているが、相撲甚句は常にそこで流れているとか。
 10年間続けることで、「前はすごくあがり症だったのに、不思議なものでいつのまにか人前で歌うことが平気になりました。毎年春ごろに、都内両国の東京江戸博物館のホールで相撲甚句全国大会があるんです。40余の甚句会が出場して、得意とする甚句を唄うことは、聴く人にも良い目標にもなります。とても気持ちがいいので、相撲に興味がない方でもオススメです」と勧める。

歴史ある文化を後世に

 10年前、房州相撲甚句会に入会した水野さんは、そこで4年ほど活動を続けた。水野さんは茂原支部にいたものの、年々高齢化とともに人は減少し、茂原での活動は終了してしまった。すぐに両国の国技相撲甚句会に入り、ここでさらに6年の経験を積んだ。「国技館で相撲が開催される時に駅の構内で相撲甚句を歌ったりして充実していました。次第に、千葉でも相撲甚句会を作るべきだろうと日本相撲甚句会の本部から後押しされ、昨年9月に京葉相撲甚句会を立ち上げました。相撲と共に歩んできた日本の文化を絶やさないよう努力したいです」と水野さんは真摯に話す。現在は、千葉中央コミュニティセンターで月2回の練習を行い、千葉駅沿線各地からの会員を募集している。そして、「相撲甚句は聴いてもらう楽しさはもちろん、腹から声を出すのでとても健康に良いです。年齢は70歳前後のシニアが6名で活動中ですが、年齢性別問いません。人数を集めて、茂原にも支部を作るのが目標です」と、続けた。
 今は主に全国大会、関東大会、両国駅前での発表を目指して練習しているが、会員が増えることでゆくゆくは老人ホームで披露するなど活動の場を広げていきたいという。同会は月会費2千円。練習日程、および入会方法について詳細は問合せを。

問合せ 水野さん
090・1999・3195

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