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【外房版】小鳥たちも共にさえずる、森に響くコカリナの音 さんぶの森コカリナ隊
- 2019/7/18
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- 外房
山武市のさんぶの森中央会館音楽室は、壁一面の窓から望む森の緑が美しい。この音楽室を拠点に、毎月第2・第4日曜日にコカリナの練習を行っているのが、『さんぶの森コカリナ隊』だ。隊員は現在14名。
どのくらいの方がコカリナという楽器をご存知だろうか。元は『桜の木でできたオカリナ』という名前の付いた、東欧ハンガリーの民族楽器だ。木の円筒に6個の指穴があり、これを組み合わせて開けることで、1オクターブと1音の音階が出る。1995年、コカリナの第一人者である黒坂黒太郎さんが日本に紹介、コカリナと命名した。黒坂さんは日本の木工家と共に、コカリナに様々な改良を加え、楽器としての精度を高めた。ソプラノのコカリナは最もオーソドックスで、長さは8センチ、太さ2・6センチ。小ぶりなので、奏者が首から糸でかけていると、木でできた可愛らしいペンダントのようにも見える。その他にアルトコカリナ、バリトンコカリナ、ワインボトルの胴体部分とほぼ同じ太さのC管バスコカリナなどがあり、また、演奏音域を広げるために、3連、4連と連結して使うこともできる。
『さんぶの森コカリナ隊』のメンバーとコカリナの出会いは、2005年。さんぶの森文化ホールで開催された黒坂黒太郎さんのコンサートにあわせて、黒坂さんが地域の小学校の子どもたちに、山武杉でバリトンコカリナを作ってプレゼントをした。子どもたちは黒坂さんの指導を受けコカリナを練習し、コンサート当日には見事に演奏した。また、初めて耳にするコカリナの音色は多くの観客を魅了し、コカリナの輪が広がっていった。そして2006年、コカリナをプレゼントされた小学生たちと、コカリナの音色に魅せられた大人たちが集まって、『さんぶの森コカリナ隊』が結成された。子どもたちが成長した今では、大人だけで和気あいあいと活動している。「コカリナは、簡単に音が出せるのが魅力ですが、同時に、その1本1本や材質でも音色が違う奥深い楽器です」と語るのは、当初からのメンバーで現在は代表を務める干場稔明(ほしばとしあき)さん。
隊員によって、コカリナを始めたきっかけは様々。「初めて吹いた時には、私にも吹けた!と感激しました。音階を覚えると、知っている曲が吹けてうれしいです。孫と一緒に楽しんでいます」「とにかく音色が好きです。音がやさしくて、やわらかいから」と、純粋に楽器としての魅力に惹かれた人もいれば、「肺やお腹を使うので、体にいいと思って始めました」という人も。また、1つの特徴として、「リコーダーと違って、順番にひとつずつ穴を開いていけば音階になるものではないので、指の使い方が難しいです」「息の強さによって音程が変わるので、その加減に苦労します」と、シンプルな楽器に見えて、演奏が一筋縄ではいかないところもあるという。各地で行われるコカリナのイベントにも、積極的に足を運び、「交流するサークルにもいろいろな特色があって、共感したり感動したりして、私たちも耳を育てています」と、干場さんは話す。
コカリナ隊は2006年8月、第1回さんぶの森コカリナ祭りを企画。以来、東日本大震災の発生した2011年を除いて、毎年コカリナ祭りを開催してきた。2013年には、黒坂黒太郎さんの東日本大震災被災地支援チャリティに共感し、『復活の笛コカリナとうたでつむぐコンサート』を、山武市成東文化会館のぎくプラザホールで主催した。そんな黒坂さんと親交を重ねる中で、黒坂さんが山武をイメージして作った曲があり、これらはメンバーたちの宝物となっている。
コカリニスト大集合!
5月25日(土)、第13回さんぶの森コカリナ祭りが開催された。コカリナ愛好家サークル演奏の第1部では、千葉県内、東京都から12のサークルが舞台に上がった。ほとんどのサークルが常連で、緑あふれるさんぶの森での演奏を毎年楽しみにしているという。
その一番手がコカリナ隊。伴奏に流れるCDのギターは、初代代表の安田雅司郎さん。ステージ上に横一列に並び、『とんび』『浜千鳥』『サリーガーデン』(アイルランド民謡)の3曲を演奏した。おそろいの赤いTシャツが、ステージによく映える。澄みきったソプラノコカリナの音色と、それをやさしく包み込むようなバリトンコカリナの音色が、郷愁を誘い、心にしみわたった。第2部では、黒坂黒太郎さんと矢口周美さん(オートハープ)が演奏と歌を披露。アンコールの最後には、ステージと客席のコカリニストが一体となって『ふるさと』を大合奏し、年に1度のお祭りは、大盛況のうちに閉幕した。
コカリナ隊は、メンバーを随時募集している。興味のある方は問い合わせを。
問合せ:さんぶの森コカリナ隊干場さん
TEL.080・5069・1372