人と人のつながりを まちづくりの礎に 山武西まちづくり協議会【山武市】

『山武西まちづくり協議会』は、平成29年5月の設立。山武市立山武西小学校の校区で、八街市と境を接した旧山武町の20地区を包括する。『みんなで創る、深い絆と豊かな自然のある地域』を合言葉に、地域のコミュニティ活性化のため、幅広い活動を行っている。

主役は地域住民

花壇づくりに参加した皆さん

『地域まちづくり協議会』は、山武市が地域住民を主役とした地域自治を推進し、支援する施策だ。市内の小学校区を単位に、地域に属する各種団体や事業者などが垣根を超え、市と連携しながら地域の課題に取り組む。「地域みんなの知恵と行動力の結集が、新たな地域コミュニティの価値を生み出し、地域の発展へとつながる」との理念に基づいている。市内では現在、『山武西まちづくり協議会』と、『蓮沼むらづくり協議会』・『緑海(みどりみ)まちづくり協議会』の3団体が活動。市の総務部市民自治支援課では補助金の交付や情報提供など、取り組みの段階に応じた支援を行う。
『山武西まちづくり協議会』は平成27年に準備委員会を発足し、会長・副会長などの本部役員と理事からなる組織を設立した。現在理事には、地域20地区の区長、自治会長、消防団部長、民生・児童委員など、地域の様々な団体の長や委員の56名が名を連ねている。会員は地域の住民全員で、3000人余りだ。

行事で育む人々の絆

 会は活動初年度より環境整備に力を入れてきた。県道76号線沿いの花壇を『山武西まちづくりガーデン』と名付け、6月と11月の年に2回、花を植替えている。各地区の公民館・コミュニティセンターの花壇も同じように季節の花で彩り、植替え作業には毎回多くの人が集まるという。副会長の渡邊聰さんは、「植えた花を見に来る方や進んで草取りをしてくれる方がいて、そこに会話が生まれるのがうれしいです」と話す。昨年の7月には山武西小学校の校庭の斜面に、大きな『西小』の花文字を作成した。また小学校周辺の草刈りも、6月と運動会前の9月に行っている。
 さらに、『豊かな自然や歴史を調べ地域の魅力を発見する事業』として、地域の神社の調査や自然観察会を開催。千葉県の『要保護生物』指定植物の群生も発見した。30年春には、『見る!知る!里山探検隊』を結成し、7月にはこの探検隊が案内する『ホタル観賞会』も開く。また、『防犯・防災事業』にも熱心で、隔年で防犯と防災の勉強会を開催している。30年11月には山武西小学校と合同で、防災士を講師に招き「地震災害勉強会」を行った。

どんど焼き

 地域で最大の行事は、『山武西大木(おおぎ)夏祭り』だ。今年は残念ながら新型コロナウィルスの影響で中止となったが、例年7月の最終土曜日に実施。小学校の校庭に盆踊りのやぐらを立て、幼稚園・小中学校の子どもたちの発表や打ち上げ花火で大変な賑わいを見せる。協議会の『和太鼓部会』のメンバーも、日頃の練習の成果を披露する。平成30年・令和1年には、研修のために来たスリランカの人たちも浴衣を着て盆踊りに参加し、国際交流の場となった。
 1月には、伝統行事『どんど焼き』が行われる。小正月の火祭りで、家々で使った正月飾りやお札、しめ縄などを積み上げて竹と一緒に燃やす。その火に当たり、焼いた餅を食べることで、一年の無病息災を祈る。協議会の活動がきっかけで、20数年ぶりに行事を復活させた地区もあるそうだ。

感じる手応え

(左から)渡邊さん、伊藤さん、糸久さん

 会では年に2回、『山武西まちづくり協議会だより』を発行し、活動の報告や地元の行事・ニュースを紹介。これも、住民が地域を知り、住民同士の連帯感が強まるのに一役買っている。担当する事務局長の糸久博之さんは、「事務の仕事も多岐にわたりますが、活動も4年目になり軌道に乗ってきたと思います」と語る。
 会長の伊藤和(やわら)さん、渡邊さん、糸久さんは、地域住民がより地域と関わろうとする意識が少しずつ広がっていると実感、「徐々に手応えを感じています」と、口をそろえる。昨年秋の台風は山武西地域にも甚大な被害をもたらしたが、道路の倒木撤去や公民館の開放など、地域が力を合わせて迅速に対応した。日頃培った『地域力』が、災害復旧の大きな力となった。
 伊藤さんは会の活動について、「みんなが笑って一緒に出来ることが、何よりも喜ばしいです。そしてその大人たちの姿を子どもたちに見せることも私たちの大きな役割だと思っています」と話す。山武西小学校は今年度末で閉校となるが、『山武西まちづくり協議会』は、地域住民1人1人がふるさとを支える柱となり、これからも活動を続けていく。
問合せ:山武西まちづくり協議会・伊藤さん
TEL.090・9326・2262
問合せ:山武市総務部市民自治支援課
TEL.0475・80・0151

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