誉田 受難の信仰を貫いた人々の街

 千葉市緑区誉田は江戸時代に栄えた千葉市登戸(のぶと)から土気を通り、大網に至る街道『土気往還』沿いにある。外房の海産物を曽我野(蘇我)・浜野から海路で江戸へ運ぶ重要なルートだった。「今の誉田一丁目付近が宿場町野田村で上宿、中宿、下宿の地名や旧家の屋敷が今も残る」と話したのはちはら台コミュニティセンター運営協議会理事山田隆男さん(64)。昨年11月、同センター主催講座『ちはら散歩』にて講師として20名を引率した。
 今回のコースは『ちはら台から誉田の街並み散策』。市外に足を延ばすので少し早いペースで歩いた。センターを出て右に曲がると早速「ちはら台の街区公園名は西から睦月(むつき)、如月(きさらぎ)と和風月名がつく。最北の公園だけ『師走』のかわりに乙月(おとつき)公園という」など、山田さんの解説が始まった。文月(ふみづき)公園で観察したのはドングリのなるマテバシイやシラカシ。「漢字は全手葉椎と白樫」。水の江小学校脇のドウダンツツジは「枝がかがり火を載せる灯台に似るので灯台躑躅と書く」と話すと参加者は資料にある樹木名の漢字読み仮名クイズの答を記入した。マンション『パークシティ』玄関前にある高木の並木はモミジバフウ。紅葉葉楓と書くように、葉はモミジ型で赤く色づく。途中、カツラ、ユリノキ、サクラ、シャラ、モミジ、イチョウ、ケヤキの街路樹もそれぞれ異なる色の葉で目を楽しませた。
 学園通りに出て北へ。千葉市緑区大膳野町(だいぜんのちょう)の住宅地を抜け、赤い実をたわわにつけたイイギリに目を留めるも急ぎ進み誉田南公園に到着した。モミジバフウに似た丸い実をつけたスズカケノキを見上げ、「この木の下で古代ギリシャのヒポクラテスが弟子に医学を教えた」と聞く。
 誉田付近は戦国時代一面原野だったが、「約400年前江戸初期に徳川将軍が鷹狩りにきたとき千葉の御殿から土気のお茶屋まで何もなく不自由したので、ここに村を作れと命じ野田村が誕生した」とのこと。街道沿いの旧家今井家を外から見学。「近くにある誉田郵便局の歴史は120年」の言葉に「ちはら台に郵便局がなかった頃よく来た」と懐かしそうに話す女性もいた。
 大網街道を少し東へ進むと千葉市有形文化財『五日堂(いつかどう)』がある。日蓮宗の一派『不受不施(ふじゅふせ)派』はキリシタン同様徳川幕府から弾圧された。1634年、この地に本覚寺を創建した蓮照院如閑日浄は翌年9月5日、信徒5人とともに処刑、さらし首になった。日浄の首は信徒によりひそかに持ち出され、埋葬されたという。供養のため作られた五輪塔も埋められた。弾圧されながらも信仰を貫き、明治時代にお堂を建てたそうだ。五輪塔はお堂裏手にある。6人の遺体が埋められた『如閑塚』は野田十文字ヶ原と呼ばれた誉田2丁目付近に今もあるという。そこは戦国時代の古戦場でもあった。
 そのまま北に進み、誉田十文字第2公園から明治大学の農場を望んだあと、誉田公民館でひと休み。誉田小学校の樹齢約130年の2本のクスノキを眺め帰路に着いた。

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