防人歌 奇跡の1カ月

 万葉集は奈良時代にまとめられた歌集。市原郡出身の兵士が詠んだ『葦垣の隈処に立ちて 我妹子が 袖もしほほに 泣きしそ思はゆ』を「巻20の防人歌のなかでも優れた歌」と評価するのは元市原市埋蔵文化財調査センター所長の宮本敬一さん(67)。辰巳公民館主催事業『文学散歩 房総の防人歌』(全2回)が開かれ、初回の5月29日に16名を前に『万葉集と防人の歌』について講義した。
 防人とは古代に北九州防備のために東国から派遣された兵士のこと。武器・衣服・食料を自前で用意し、家族と別れ、国ごとに隊列を組んで難波津(今の大阪)に集合した。九州へ向かう船に乗り込む前に防人を点検したのが兵部省(今の防衛省)の次官だった大伴家持。天平勝宝7年(755年)2月の約1カ月間に、次々と到着する東国10カ国の防人たちに歌を提出させ、万葉集に採録した。
 宮本さんは「家持は役人としては不遇だった。政争に巻き込まれ、死後財産を没収されたので万葉集が残ったという説もある。どこの誰がいつ詠んだとわかる農民兵士の歌が80首以上も伝わるのは世界に類例がない文化史上の奇跡」と語った。


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