置物!?壁掛け!?いいえ、シャドウボックスです

 昨年末、山武市にある成東中央公民館主催で行われた『シャドウボックス教室』。午前と午後の2回に分けて開催されたが、午後の部に参加したのは12名、悪戦苦闘しながらも3時間で個性のある作品を作り上げた。講師はシャドウボックス アトリエ サンアートの林孝子さん。
 開始直後、「シャドウボックスは初めてですか?」という林さんの問いかけにほとんどの受講者が頷いた。シャドウボックスとは、同じ絵を複数枚用いて作るハンドクラフトのこと。パーツごとに切り抜いて、ふっくらと丸みをつけることで立体感が生まれる。また、プリントに丸みをつけることで奥行きも演出されるので、額縁に入れるとよりリアリティのある作品に仕上がり、スプレーワックスをかけることでツヤもでることから『紙の陶器』とも呼ばれている。
 受講者は事前に3種類の中から選んでおいたカードを手に、カッターで切りぬきを始める。「こんなことをするのは数十年ぶりかもしれないね」と互いに話しながらも、徐々に手が進んでいく。フクロウ・おもちゃ箱・ティーカップの絵は、難易度もそれぞれだが共通しているのは、どれも細かいということ。フクロウの足やおもちゃ箱の中のスティックなど、「ここまで切って大丈夫ですか?」と何度も質問をする受講者たち。林さんは、「カッターの刃が折れてしまったらすぐに交換した方がいいので教えてください。多少切り過ぎてしまっても、後ろから補修できますので大丈夫ですよ」と声をかけるが、慎重な姿勢は変わらず。切り抜くスピードが人によって異なるので、隣同士で声を掛け合ったりして助け合う姿も。
 すべてを切り抜いたら、全部位に裏から水性のマーカーを使って周囲をなぞる。「だんだん慣れると切りやすくなった。けれど、物があるように想像して切らなければいけないのは大変でした」とほっと息をつく人も。その後は、一番上にくる紙をふっくらさせるために、竹串などを使って周りを丸める。そして、難関の積み上げ作業に入る。シリコンを竹串に適量をとって、そっと紙につけてから同じ図柄を載せていく。少し押すだけでシリコンがつぶれてしまうため、さらに慎重な空気に教室が包まれる。「フクロウの羽は上に乗せるものを少し斜めにしてあげるとより立体感がでますよ」など随所で林さんが説明しながら、教室中をせわしなく回ってチェックしていく。仕上げにスプレーをかければ完成だ。「あと2・3回やってみればもっとコツが分かって楽しくなってくるかも」と受講者たち。季節に合わせた作品を部屋に飾ってみると、気分転換にもなるのではないだろうか。受講者たちは、光の当て方や見る位置によって別の表情を出してくれる『シャドウボックス』を、この冬楽しむことができるだろう。

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