絵手紙から広がる創作世界

絵手紙から広がる創作世界
~シニア世代にエールをおくる~
半田良子さん(長生村在住)

 長生村でご主人と暮らす半田良子さん(70)。地元の長生村や茂原市、白子町、一宮町の公民館で絵手紙を教えている。大分県国東半島出身で高校卒業後、上京し都内で会社勤めし結婚。夫の定年を機に13年前、夫婦で長生村へ移り住んだ。「故郷と同じように豊かな自然に恵まれた、この地に来てよかったなと思っています」と話す半田さん。20年ほど前にカルチャースクールで絵手紙を学び、数年して教室で教えるようになった。長生村に来てからもしばらくは都内まで教えに行っていたが、通うのが負担になりやめた。「私ね、いっぱい病気もってるの。糖尿病に胆石、ポリープ、難聴などなど。でも、やりたいことがたくさんあるから、毎日が楽しい」屈託ない笑顔をみせるが、病気だけでなく加齢による体力や気力の衰えも感じ、今年4月から5月にかけて『アートサロン茶房けい』(長生郡一宮町)で開催した個展『恥古稀』展の小枝で書いた挨拶文には「最後の個展になるかもしれない」と記していた。
 古稀を迎えた半田さん。60歳の時には仲間と『還暦前後5人展』を開き、今春の個展は「自己満足の恥古稀展」と笑うが、絵手紙作品の評価は高く、これまでに『手漉きハガキコンクール』で環境庁長官賞、『ふみの日絵手紙コンクール』では郵政局長賞、『一期一会絵手紙コンクール』で優秀賞、『千葉市役所50年絵手紙コンクール』では最優秀賞等、数多くの受賞経験をもつ。
 半田さんの絵手紙作品は、文章も絵も見る人を和ませ元気づける、ユーモアと優しさにあふれている。「年をとるのも悪くない 自分の都合で見えない 聞こえない」と書かれた作品を前に、クスッと笑ってしまったり、おかめひよっとこを描いた掛け軸には、「あなたがいりゃからこそケンカもできる まだまだ続く老いの道 プラス思考でまいります」とあり、「そう考えれば気が楽になる」と励まされたように感じた人は多かったことだろう。また、今回の展示では絵手紙だけでなく、半田さん曰く「もぎり文字」や拓画、魚拓、つる編み、掛け軸の作品も披露した。彼女の作品世界の魅力は、オリジナリティーにある。独創的で自由な発想で生まれた作品は見る人を一瞬にして惹きつける。
 半田さんは「長年、絵手紙をやっていると飽きちゃうの(笑)。だから写生会に参加したり手漉きなどの手遊びしたり、消しゴムハンコ作ったり。今は市原市まで拓画を習いに行っているのよ。覚えたい時が覚える時。そして自分が覚えたことは教室の生徒さんに教えてあげる。教えるということは、学ぶことでもあるのね」と話す。展示会場で一際来場者の目を引いた雑草ハガキ。自然の風合いが美しい作品を前に、「これも独学。本を見て覚えた。カラスノエンドウ、ペンペン草、ツクシ、イネ科の植物を使って作るの。一番手軽なのはフキの皮。草の香りが良い」更に、「新聞紙やダンボール、チラシも漉いちゃう。面白いのは馬糞紙。サラブレッドの馬糞で作った。押し花を漉き込むこともあるのよ」と瞳を輝かせ言葉を続ける。ダンボール額やハイターで布に書いた白抜き文字、新聞のカラー部分を切り取って創った古代文字の作品やブローチも展示されてあった。のびやかでピュアな精神は、各作品に反映されている。
 様々なことに挑戦しながらも、初心を忘れない半田さん。絵手紙を始めたご主人を「絵手紙の原点は素朴であること。主人の作品は人目を意識せず素朴だから私は好き。今回は主人の作品も展示しているの」と目を細める。
 絵手紙の題材は、花や野菜、果物、季節のもの。「毎月テーマを決めるのだけど、ワンパターンにならないよう、履き物をテーマにしたことがなかったので、先日は草履を」4教室に通ってくるのは、50代から70代のシニア女性たち。「なにを作るにせよ、絶対本物を見ましょうと言っています。それが私の作品づくりのモットー。実物を見て描くことが一番相手に伝わると信じているから。絵手紙を描く時間は送る相手のことを考えている。その人のことを思いながら描く。一番大事なのは、その人に届ける言葉。これからも絵手紙を通じて、人の輪をつなげて広げていけたらいいですね」と、半田さんは微笑む。  

 尚、半田さんの作品(絵手紙)をご覧になりたい人は、11月2日(土)、3日(日)9時から開催される長生地域の文化祭へ(会場は白子公民館、長生村公民館、一宮GSSセンター)

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