市津自然散歩

市津自然散歩

 今年も散策と講義で四季折々の里山の生物を知る『市津自然散歩』(年4回)が開かれた。初回の4月20日は24人が出席し、主催する市津公民館担当者が「千葉県でも有数の自然が残る市津周辺を歩き、本当の散歩の意味に気付ける講座」と挨拶しスタートした。講師は現役のエンジニアでありながら身近な生き物を観察、記録し、両棲類の保護、研究をする田頭芳樹さん(48)。ブログ『散歩道プロジェクト』も綴る。午前中の講義では「家族を愛するように身近な自然も慈しんで」と自身の住む市原市瀬又の多様な生物が紡いだ物語を紹介した。
 心配された空模様について「今日は百穀を潤す雨が降る二十四節気の『穀雨』だが、お天気は持ちそう」と気象予報士の資格を持つ田頭さんが保証し、午後は自然観察にでかけた。公民館前の県道4号線を左に進み右斜めに小道を入り喜多地区へ。長柄ダムから北へ村田川本流に流れ込む川をはさんで谷津田が広がる地域だ。歩き始めてすぐに下野公民館手前でキジ夫婦が道路を横断した。カエルや鳥が鳴くなか里山林に沿って進む舗装道の両側は春の野生植物の宝庫だ。見過ごしそうな枝葉や草かげに隠れた小花を見つけた田頭さんが指示棒を伸ばし説明を始めると思い思いのペースで歩いていた参加者も足早になって集まる。ブラシのような白い花は『ウワミズザクラ』、ツバメが飛ぶ形の薄紫の花は『セリバヒエンソウ』、葉の中心に花をつける『ハナイカダ』。名前を教えてもらうと熱心にメモを取ったり、カメラで撮影したり。水を張った田んぼの底にはサギ、カモの足跡があった。レールのように平行に続くのはカメの足跡だそうだ。
 道路脇に『ホタルカズラ』が群れて咲く場所に着くと「植物にはそれぞれに生育に適した環境があり、少しずつ群生する所を変え子孫を残す知恵がある」とのお話。出発しようとすると常連参加者の1人が田んぼの側溝に『ニホンアカガエル』の卵を発見した。「収穫後の田んぼの水を減らし過ぎたり、水路のコンクリート化などで近年急激に数が減少した」という千葉県レッドデータブックの消息不明、絶滅種に次ぐ最重要保護生物だ。「2月から4月初旬が産卵期だけれど、今年3月は少雨だったので遅れたのでは。これは生まれたばかり」と田頭さん。体長数センチの親ガエルはゴルフボール大の卵の塊を産む。それが1日か2日で水を含み大人の手のひらほどの大きさになるそうだ。やがてひと塊から約500匹のオタマジャクシが誕生する。
 空に猛禽類『サシバ』の出現を確認し、さまざまな生命を育む湧水池を覗いてさらに進んだ。道なりに左に折れ、川の東側に出て公民館方向へ歩くと右手に水が湧く小川がある。見ごろを迎えた『クレソン』や『キショウブ』の花を指して地元在住の参加者は「夏や秋も野の花が楽しめる」と誇らしげ。「犬の散歩で下ばかり見て巨木に気づかなかった」と小川の奥の『クヌギ』の花を仰ぎ見る男性もいた。約4キロを2時間かけて歩き公民館に到着。田頭さんの予報通り雨はぱらついただけで済んだ。

問合せ 市津公民館  
TEL 0436・74・5516

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