森・オオカミ・人のよりよい関係を考えるために

 3月21日(祝)、市原市宿にある内田未来楽校(旧内田小学校)で『オオカミを語ろう』&『イノシシ鍋を食べよう』が開催された。約50名の来場者は、振る舞われるイノシシ鍋を口々に「おいしい!」と言いながら頬張る。鍋を調理したのは『市原米沢の森を考える会』の鶴岡清次さん。「人間が自然を守れば、自然に守ってもらえます。イノシシの住処は増えていますが、人間と動物のバランスをとることが大事です」と話す鶴岡さんは、「会を結成して12年。ようやく結果がでてきました。昼夜問わず写真を取りに来ていただける方もいるので嬉しいです」と続ける。
 当日『米沢の森写真展』も開催。四季折々に姿を変える森を写した写真を、イノシシ鍋を食べて身体を温めた来場者が鑑賞した。「地元の人にしか見つけられないようなポイントだね!目線が違うな」と話す男性もいたが、米沢の森を撮り続けている石川松五郎さんは、「綺麗な写真を撮れるのは偶然も多いけれど、回数を重ねることが大事です」という。森から見る『ダイヤモンド富士』や天城山から千葉のポートタワーまで24枚の写真を1枚にまとめた大パノラマ写真など、同会場では加賀淺吉さんに撮られた目を見張る写真が何枚も飾られていた。
 その後、一般社団法人日本オオカミ協会の千葉県支部長、井上守さんにより『オオカミの再導入について』が語られた。「オオカミのイメージは『3匹のこぶた』や『あかずきんちゃん』など悪の象徴とされていますが、人を襲うことはありません」と井上さん。日本のオオカミは明治時代に絶滅し、自然生態系は崩れる一途を辿っている。イノシシやサル、シカやハクビシン、キョンに田畑や森を荒らされるのは、動物界の強者が存在しないことで爆発的に数が増えているからである。キョンは小さく夜行性で銃による捕獲は困難で、捕獲を続けなければ年36%の割合で増加する。オオカミを迫害してきた欧米各国では存在の重要さを知り、オオカミを保護し住民との共存を始めている。
 井上さんの、「オオカミはリーダーしか繁殖せず管理も必要ない。オオカミの敵はオオカミです。森林が多く野生生物の被害が大きい房総半島には再導入の早期実現が必要です」という説明を聞きながら、来場者も資料に目を落とす。そして、「人間との共存について具体的に教えてください」、「かつては房総半島にもオオカミは存在したんですか」など質問が飛んだ。同協会が3年毎に行っている国民の意識調査では、導入について賛成が45%、反対は10%、残り45%は分からないという結果。「自然破壊をしたままではいけません」と強く訴える井上さん。『怖い』というイメージを払拭するためには、まず彼らの生態について興味を持つことが必要なのだ。

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