- Home
- 外房版, 市原版, シティライフ掲載記事
- ストレスを笑いで吹き飛ばせ!人生楽ありゃ苦もあるさ
ストレスを笑いで吹き飛ばせ!人生楽ありゃ苦もあるさ
- 2015/10/9
- 外房版, 市原版, シティライフ掲載記事
桂 米助さん講演会 in茂原
9月5日(土)、茂原市市民会館では、落語家の桂米助さんによる講演会『笑いのある人生』が開催され、大ホールは訪れた約700人の人々でいっぱいになった。主催者の房総信用組合の理事長である白井和さんは、「地域に根差した社会貢献イベントの一環として講演会を行っています。景気は上向きだと言われていますが、まだまだ地方はそれを実感できてはいません。そんな中、日々の生活に必要なのは『笑い』です!今日は思い切り笑ってください」と話した。
市原市出身の桂米助さんは、昭和23年生まれ。市原高等学校を卒業後、1967年に桂米丸さんに弟子入り。そして14年後、33歳の時に真打に昇進した。『笑っていいとも!』や『ためしてガッテン!』などの番組への出演歴や、『深夜便 落語100選』のラジオ放送だけでなく、映画やCMの多岐に渡って活躍する米助さんだが、最も有名なのが『突撃!隣の晩ごはん』ではないだろうか。
同講演では、そんな米助さんの『食』に関する様々な話が披露された。「食は人を良くすると書きます。長命の『あいうえお』は、味付けを薄く、色々な食材を使って、適度な運動をしつつ、栄養のある、美味しい食事をすることが秘訣とされています。日本で一番長生きの県はどこでしょう?」との問いかけに、会場からはすぐに「長野県!」との答えが。
小笠原諸島以外、日本全国津々浦々の食卓を覗いてきた米助さんの、テレビでは知ることのできない裏話を交えた軽快なトークに、来場者がテンポよくドッと笑う。30年続いた『突撃!隣の晩ごはん』で訪れた家はおよそ6千軒。一番多く食卓に並んでいたおかずや漬物が何か、分かるだろうか。
近年、評論家によると日本の米の消費量は減少していて、日本人が米を食べないと問題視されている。だが、「日本人だって、ちゃんとお米を食べています。6千軒の中で、夕食にパンを食べていたのは3軒のみ。他は、ご飯か麺でした。農作業などの体力仕事が減ったことや、おかずの品数が増えた分、お米の量を調整しているだけです」と、確かにその目で見てきたデータに基づいて力説。それよりも、「子どもたちが食べる物は柔らかく、大脳に刺激がいかない。小さなことにキレたり、世界間で比べた学力が低下している。顎を強くした方がいい」と問題視した。
他にも、『煮物』や『煮つけ』、『おにしべ』の区別、海外と違って日本は1つの食材を煮る・焼く・刺身のまま・干す・蒸す・揚げるなど何種類もの調理をして楽しむことができると説明。加えて、「出汁の味が分かるのは日本人だけ。器にも、盛り付けにもこだわる。こんな食事を毎日作っている日本の奥さんは最高!」と告げると、さらに会場が湧いた。
だが、しばしばフランス料理や中華料理が世界一と推奨されることもあり、日本人でも海外の食へ傾倒する意識がないわけではない。決して、それが悪いことではないが、米助さんは警鐘を鳴らす。「暑いとクーラーを入れるのが文明。打ち水をして涼しさを五感で楽しむのは文化。ホッと心が安らぐ日本らしさ、食に限らずとも、文化は一度消えると復活させるのに倍の時間や労力、お金がかかります」。文明が発達すれば脳は衰え、人間同士の心が離れていくかもしれない。「言葉を知らない若者は多く、物の価値も変化しているので落語や時代劇をやるのが難しくなっているんです。これらを無くさないために、ぜひ子どもやお孫さんに色んなことを教えてあげてください」と米助さん。茂原市在住の宮内千佳子さんと清子さんの義姉妹は講演後、「とっても面白く、よく笑いました。知識と知恵がよく織り込まれていて、勉強になりました。私は長野出身なので、故郷の話題も出て嬉しかったです」と満足そうに話した。
『食』以外にも、『落語』や『地方で起こった訛りによる誤解』、『弟子入りしたばかりの頃の失敗談』など次々と湧き出る面白い話が1時間半。来場者には、とっても良いストレス解消になったのではないだろうか。ちなみに、食卓に並ぶメニューのナンバー1はカレー。漬物のナンバー1はキムチだとか。あら、意外!?