中近世の甲冑と戦

 千葉県立中央博物館大多喜城分館で、企画展『甲冑とその時代~甲冑の様式を中心に~』が12月6日まで開かれている。平安時代後期から江戸時代まで、迫力満点の兜と鎧が時代順に陳列されており、戦事情に左右された形態の変遷をたどることができる。
 平安から室町時代までの大鎧は、牛皮や鉄製の札と呼ばれる長方形の小片を少しずつずらして重ねたものを横に並べ、糸や犬の皮でできた紐で綴じ合わせて作られていた。小片は漆塗りで、鎧1領につき約1500枚から1800枚。
 36キロもある国宝の『赤糸威大鎧』(複製)など騎乗したまま戦うことを想定した様式から、南北朝時代以降は徒立戦で動きやすい様式へと移行。戦国時代から江戸時代にかけては鉄砲など新兵器の登場により、胸板は黒の漆塗りに紺の糸を施した板札が主流。籠手や臑当まで完全装備の具足が普及していった。
 来場者に人気が高いのが、桃山時代から江戸時代のものと推測される『紅糸中黒糸威丸胴具足』。同具足の兜『鉄十六枚張阿古陀形筋兜』には全体に青貝螺鈿が施されており、鎧の胴下部分、草摺り裾板には桐紋が見られる。兜には「春田定光作」の銘があり、鎧は徳川家の甲冑制作に深く関与した岩井与左衛門一派の仕事と強い共通性が見られる。
 豊臣秀次所用といわれる甲冑に、お子様も楽しめる変わり兜。全国で初公開の資料もあり、見ごたえたっぷりのラインナップだ。甲冑の変遷を観察し、中世の戦模様に思いを馳せてみては。
 月曜休み。9~16時30分(入館16時まで)。入場料は一般300円。

問合せ 大多喜城分館
TEL 0470・82・3007

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  市原市は市制施行60周年を記念し、『エンジン01(ゼロワン)in市原』を2024年1月26日(金)~28日(日)に開催する。先月8月25日…
  2.  マザー牧場(富津市)では、ひと足早く秋先取りの絶景が登場。まきばエリア 『花の大斜面・東』にて、 2年目となる『コキア』が9月上旬より紅葉…
  3.  心ない行動や言葉が、人を追い詰め事件になるケースも多い昨今。この本『慈雨』の筆者・大木太枝(たえ)さんも、20数年前、愛する家族が他人の中…
  4.  9月30日(土)・10月1日(日)の2日間、上総更級公園や上総大路などで、『上総いちはら国府祭り』が4年ぶりに開催される(主催:上総いちは…
  5.  絵本作家の五味太郎さんが書いた本に『じょうぶな頭とかしこい体になるために』という本があります。「何をしたいか自分でもよくわからないんだ」と…
  6.  今回から前後編で、世界に名を轟かせた黒澤明監督に関するお話です。黒澤明:1910年(明治43年)3月23日生~1998年(平成10年)9月…
  7.  牛久石名坂1号墳跡は、市原市のほぼ中央に位置し、国道が縦横に走る養老川中域の標高37メートルの河岸段丘上にあります。周囲には大小の古墳が9…
  8.  8月21日から23日の3日間、野田市にある江崎グリコ株式会社の工場見学施設『グリコピアCHIBA』にて、小学生とその家族を対象としたワーク…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  9月30日(土)・10月1日(日)の2日間、上総更級公園や上総大路などで、『上総いちはら国府祭り』が4年ぶりに開催される(主催:上総いちは…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る