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春が楽しみになるつるし飾り
- 2016/2/19
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梅は咲いたか~、桜はまだかいな
1月11日(祝)から全4回に渡り、戸田コミュニティセンター主催で行われた『つるし雛 ―梅づくしのつるし飾り―』。講師の山本智江さんに、細かく指導を求める受講者は10名。つるし雛が始まったのは江戸時代、特別に裕福でなければ当時は手に入らなかった雛人形を、子どもの幸せを願って親戚や近所で持ち寄るようになったのが由来だと言われている。
今回、講座で作るのは梅づくし。全体として衣食住に困らないようにと願いが込められているつるし雛だが、花のように可愛く育ちますようにという意味を持つ『花』は紅梅・白梅を表現したものが多い。
受講者の30代女性は、「世代交流を目的に参加しました。講座中は集中してしまうので、あまり会話をする機会はないんですがとても楽しいです。初めて作るのですべてが難しいけれど、つるし飾りなど伝統的な物は廃れて欲しくないです。9歳の娘に少しできたものを見せたら、今度はお花の髪飾りを作って欲しいとリクエストされました」と嬉しそうに話す。
講座が始まると、黙々と作業を進める受講者たち。だが、一度「この布はどうやって5等分したの?」、「どうしても中心がずれちゃうの。どうすればいいの?」と質問が聞こえると、山本さんの周りにすぐできる人だかり。そして、「大きな反物(たんもの)は細かくセンチにこだわるけれど、小さなコマ切れで作っているんだから大まかで大丈夫。椿の花の布が小さかったら、無理にしぼめなくても下に葉っぱの布を当てるので隙間があっても気にしないで」と、山本さんは大らかな作業を促す。
高さ30cm、直径10cmにもなるつるし雛には、中心に大中と2つのくす玉があり、周囲に5本のつるし飾りが舞う。5本の先端には赤い椿の花がポイントとして揺れ、手で触れると鈴の音が聞こえる。
完成品はなんとも可愛らしい仕上がりだが、山本さんいわく「できるまでの苦労は半端ない」のだとか。というのも、必要な梅の花は大中小3種類を合わせて約80個。大は6cm、中は4cm、小だと3cmととても細かい作業になる。型紙から布を切り抜き、ぐし縫いをして綿をくるんで絞る。そして、丸くなった布を糸で5等分して花びらを形作り、中心にビーズをつけて完成。その梅の花をまずは大量に作らなければならないのだ。だが、「梅の花を組み合わせる時、配色をどうしようか考えるのも楽しいわよね」と、次回の講座を想像して楽しむ声も。
取材日の18日は椿の花に重点を当てた。「あと2回で出来上がるように、みなさんがんばりましょうね」と楽しげに声をかける山本さん。梅の花が咲く頃、それぞれの家にも綺麗な梅のつるし雛が飾られていることだろう。