遊び心で生き物がたくさんの里山再生

 高齢化と減反政策で荒地になる田んぼや山林が増える中、昔のように生き物がたくさんいる里山を再生しようと活動しているボランティア団体がある。いすみ市の『桑田里山の会』(江澤嘉彦代表)で、活動日は毎月第2日曜日。「無理せず・楽しく・できること」をモットーに、遊びながら自然環境を守り育てるのを目的としている。桑田は地名で、活動の本拠となる建物『里山センター』の所在地でもある。
 雑木林の管理として下草刈りや活動路整備が主な作業だが、里山の再生活動を通じて、地域の人はもちろん都会の人にも憩いの場を提供しようと、「クラブ」と称し、活動日の前後に炭焼きやそば打ち、古代米作りも行っている。また整備した山林に、会が購入したアンズの苗木を植え、会員が自分の木の管理をしている。桑田をアンズの花咲く里山にし、将来はアンズジャムを作るのが目的だそうだ。その他に、会員からおもしろい企画の提案があれば、その後援も会として行っている。
 桑田には田んぼ、山林、竹林、丘陵地が広がり、鴨が多く渡ってくる3カ所の堰もある。継続的な活動と減農薬化で増えてきた田んぼのドジョウやタニシを目当てにシロサギが集まり、絶滅危惧種のニホンアカガエルやトウキョウサンショウウオも多く生息する。用水路に通水した時、これらの生き物が流されないようにとビオトープも作り、管理もしている。また密集していた杉山や竹林の適当な伐採で光が地面に届いた結果、フユイチゴやタラの木など、虫や鳥が食べる実を付け、シュラン、ホトトギスやワレコモウなど、四季折々の草花が見られるようになった。
 主軸となり活動するのは地域住民だが、ほとんどが移住組。「東京に住んでいましたが、釣りに来ているうちにいすみが好きになり移ってきました。ここの自然は都会では貴重なものばかりです。会員の中に左官屋や植木職人もいるので大概のことはできます。炭焼き小屋や傘亭と呼んでいる野外の屋根付きのテーブルも伐採した木や竹を使って自分達で作りました」と事務局長の宇津井茂さん。
 会の運営費は各種の助成金もあるが、間伐材や竹を炭にして販売し、その利益を当てている。炭にする過程で出る木・竹酢液も今後は商品化を考えているとの事。また竹をチップ状にしたものは土壌改良剤として今後、活用していく。チッパーは草刈機の刃を何枚か重ねた会員の手作りのものもあるが、いすみ市の粉砕機を借りる予定。竹が元来持っている乳酸菌を活かした肥料にするため、竹をパウダー状にする機械も作る予定だという。
 今年初めての活動日には、散乱している倒木や枯れ枝を集め処分。その後は餅つきを行い、出来立てをあん、きな粉、おろし大根、海苔などで食べた。みんなで昼食の準備をし、かかった費用は割り勘。持ち寄りも多く、この時の昼食代は200円だった。
 50代~60代を中心に会員数は55人。市外からの参加者は過半数を超え、他県から定期的に参加する人も多い。ホームページも充実しており、活動した内容は写真やレポートですぐに他の会員が見られるようになっている。会員専用の掲示板もあり、独自に味噌作りやそば打ち体験の参加者を募ることもある。会員のブログで活動内容が掲載されることも多いが、それぞれが楽しんでいる様子が伺える。
 いすみ市では移住を考えている人に空き家を紹介したり、体験プログラムを行っているが、会の存在を知り、移住を念頭に活動に参加する人がいる。「とっかかりとして会の活動に参加し、いすみの良さ、住んでいる人々を知ってもらえれば嬉しいです。会員とその関係者が利用できる簡易宿泊所もあります。その宿泊所の前の10坪の畑も貸しているので、農作業や近辺の観光の拠点にしてもらえます。そして今まで3家族が実際に移ってきました」と宇津井さん。
 地元の人から頼まれ、毎月第4日曜日には竹林の整備も行っている。手入れのなされた竹林は適当な光がふりそそぎ、気持ちのよい空間となっていた。毎回20~30人の人が集まるので作業に支障はないが、活動を次世代につなげたいと、若い年代を含んだ会員を広く募集している。年会費は個人・家族会員は2千円。法人は一万円。ゲストは当日の昼食費のみ。入会希望の方は連絡の上、当日、現地に9時少し前に集合。参加される方は帽子、軍手、長靴の野良仕事スタイルがベスト。活動時間は9時から15時位まで。

問合せ 桑田里山の会(いすみ市桑田938-1 里山センター)宇津井さん
TEL 0470-87-2959
http://www.milmil.cc/user/kuwasato/

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