私が子育てに奮闘中の頃、先輩ママが、「親が何もしてくれなかったおかげで、私はいろいろなことができるようになった」と話してくれました。小学1年生になったら、明日の準備は自分でやる。家事は家族で分担して行うなど、親が手伝ってくれるのは初めだけで、やり方を覚えたら自分のことは自分でやるのが基本だったそうです。そのうちに、ご飯も炊けるようになり、お弁当も自分で作って学校に行っていたそうです。当時は、友達の親と比べて悲観したりしたそうですが、その方のお母様は、それはそれは、何もやってあげないことを徹底されていたようです。
しかし、自分が親になった時、同世代の母親たちが実家を頼りすぎているのをみると、「なぜ自分でやれないの?」と思うようになったそうです。そして、よく考えた結果、何でも自分でできるようになったのは、「何もしてくれなかった親のおかげだった」と気づかれたそうです。この方のお母様が行ってきたことは、『何もしない=放任』ではありません。何もしないことを一生懸命にやってきたのです。そして、「見守り続けて、認め、信頼してくれた」ともおっしゃっていました。
現在、子どもの引きこもり、自立困難などの相談が増えています。ほとんどの場合、その親は「かわいそうだから、何でもやってあげてきた」のだそうです。果たして、何でもやってあげることが子どものためになるのだろうか?と思ってしまいます。
子育ての目標は『自立』をさせることです。子離れする時も、そう遠くはなさそうです。
中嶋悦子(なかしま えつこ)
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