チバニアン整備計画策定!~施設は令和8年度から供用開始~【市原市】

 国の天然記念物で、国際地質科学連合IUGSが国際境界模式地(GSSP)として承認した地磁気逆転地層・チバニアン。市は多くの人が来訪し交流できるよう、地層周辺の「養老川流域田淵の地磁気逆転地層整備基本計画」を策定した。ガイダンス施設のほか、滝前広場や露頭見学施設も豊かな自然を活かしつつ、使いやすいユニバーサルデザインで設計され、 地磁気逆転地層の保存・活用を図るという。

活用と保存、後世への継承

 市原市は、2020年1月に行われたIUGSによるチバニアンの国際境界模式層断面とポイント(GSSP)の承認を受け、その3月には「国指定天然記念物養老川流域田淵の地磁気逆転地層保存活用計画」を策定。これは後世にわたって地層を継承していくための基本方針で、今回あらたに定められた計画は、実際に公開・使用するために具体化した整備案。整備されるエリアは、 天然記念物指定範囲と、県道からつながる隣接地一帯だ。天然記念物を保存・継承し、さらに魅力あるまちづくりに活かせるよう、推進していく。
 IUGSの承認前、チバニアンはGSSP候補地にあがったときから多くの見学者が訪れており、 地域住民などがガイドや歩道の除草作業など、日常的な維持管理等を行ってきた。現在もビジターセンターの運営やガイド養成講座などを実施し、見学者に対応している(コロナ感染拡大防止のため、緊急事態宣言中は休館)。市では「市民や住民の管理・運営への参加は、地域への愛着や誇りとなり、これをさらに整備することで、教育 ・ 調査研究 ・ 観光など、来訪者間との交流や賑わいの創出ほか、様々な波及効果を生みだす」と期待する。

テーマは「体感フィールド」

 チバニアンの地層は、房総半島南部を流れる養老川中流域にみられるもので、「前期更新世」と「中期更新世」の地質年代境界を含んでいる。海底で堆積した地層が地殻変動により隆起し、さらに養老川の侵食によって削られ露頭となり、誰もが見ることができる地形になった。地層としては、地磁気逆転現象前後の当時、深海にあったため堆積物が連続的に層をなし、観察が容易にできることも特徴だ。また、「白尾火山灰層」もあり、これによって地磁気逆転地層を視覚的に認識しやすく、年代の特定にも役立った。当時の環境復元が可能な、微化石や花粉化石も地層に保存されており、とても貴重な場所である。
 これら地球のダイナミックな自然を身近に学べる場所はなかなかない。市では整備計画にあたって、目指すべき姿と具体的なイメージのテーマを「大いなる自然と文化を学び、継承する『チバニアン』体感フィールド」とした。エリアは4つのゾーンに分けられている。

①エントランスゾーン:アクセス道路である県道からの入口に近いところに駐車場を設置
②レクチャーゾーン:現地を見学する前にガイダンス施設の展示で概要を知ることができる。支流沿いの露頭をガイドの説明や解説板とともに観察しながら散策。養老川沿いの露頭まで、期待感を高めながら進む
③文化体験ゾーン:地域を知る上で重要な歴史文化資源を見学。整備された多目的広場で、団体でのレクチャーが受けられる
④自然体験ゾーン:価値ある地磁気逆転層準を実際に見学し、地層のスケールを肌で感じる

 この場所で企画展やワークショップの開催等を行い、市原市における科学学習の場(「市原市の理科室」)として学びの機会を提供、地磁気逆転地層の不思議さや偉大さを体感できることを目指す。また、県内外・市内外に限らず、小中学生や高校生の授業の単元に応じた校外学習の場として、教育利用が行われることも考えられている。
 多くの人が交流する場として、 農産物の販売や地域で活動するアーティストの活躍の場としても施設を利用でき、ユニバーサルデザインにすることで、様々な人が安全・安心、快適に見学できるよう配慮する。供用開始は令和8年度。南市原地域の中核的な拠点として、地域振興の波及効果も目指している。
(画像・資料提供:市原市ふるさと文化課)

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