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地域の人たちをつなげる場所を残したい ~ギャラリー・プロジェクト長南~【外房】
- 2020/10/15
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古いレトロな郵便局の建物を活かし、まちづくりや育児サークルの活動、ギャラリーなどに使えるレンタルスペース『ギャラリー・プロジェクト長南』。昭和54年頃まで使用していた金庫、壁にある小さなガラスの窓口などはそのまま残し、様々なイベントや活動に使えるよう、リノベーションされている。
現在、ここを管理している森山佳代さんは、2007年に東京から移住。当時、シュタイナー教育(ドイツの哲学者が提唱した教育理念)を行うフリースクールが長南町にあり、娘さんを入学させるために家族で越して来た。しかし、東日本大震災を契機に生徒が離散し、家族は京都へ移り、森山さんは長南町で活動するため残ったのだと言う。「開発されずに保たれた昔のままの里山、控えめで温かい人柄の地域は、とても魅力的。ここで過ごすと虜になる人が多いんです。私もそのうちの一人ですね」
プロジェクト長南は、もともと有志により2014年に手づくりで立ち上げた拠点。町に惚れ込んで移住して来た元大学教授や写真家、地元出身の教師などが町と協力し活動していた『協働交流サロン』により企画・運営されてきた。しかし、それぞれが別の活動を主宰していたり、家の事情などによって、完全なボランティアで持続していくことが困難となり、森山さんが管理を引き継いだ。「私は当初からのメンバーではありませんでしたが、東京に通勤する合間、皆さんが建物を改装しているときから手伝いをしていました。この会場でのアート展や小さな市などのイベントに関わるなかで、この拠点を残したい!と思ったんです」。昨年12月からは、元サロンのメンバーで自宅でパン教室を主宰、町内の別のボランティア活動『ほぼ道の駅長南プロジェクト』に参加する川野晶子さんも森山さんを手伝い、ふたりで運営する形になっている。
現在、プロジェクト長南で定期的に行われているイベントや活動は、いくつもある。3年前から始められた『癒しの森』は毎月第2土曜に開催、毎回約10店舗が参加するリラクゼーションがテーマのこじんまりとしたイベントだ。マッサージや占い、無農薬で野菜を育てているカフェの弁当や、京都で化学肥料不使用などの栽培されたお茶、地元アーティストの作品など、なるべく健康に良いもの、エコ暮らしの提案、地域と縁ある方の出店等で、毎回少しずつ内容が違っている。毎週(月)(水)(金)には、自主保育サークル『豆の葉園』が活用中。こちらはシュタイナー教育の学びを実戦し子育てする活動で、親子でスポット利用もでき、参加する子どもや親子も募集している。また、月1回・月末の土曜日は、地域の人たちが集まり、お酒もOKの楽しい交流会を開いているそうだ。
「小さな場所での小さな活動かもしれませんが、地域の人たちが気軽に集える場所を大切にしたい。長南町には個性的で面白いことをしている人たちがたくさんいます。これから色々とつながって、新しい活動が出てくると思います。ぜひ楽しみにしていてください」と森山さん。11月には癒しの森も出店する町民対象の文化祭が、廃校を利用した『長南集学校』で開催予定で、森山さんも川野さんもスタッフとして参加する。「じんわりじっくり焦らずに、地域の人たちと長南町の良さを伝えていける活動を続けたい」とふたりは揃って話した。
●ギャラリープロジェクト長南
作品発表や趣味の集いなどで利用者を募集中。1日3000円。
長南町長南1197(国道409号沿のセブンイレブン上総長南店裏)
問合せ:森山さん
TEL.090・6044・8040